転載元 : http://wktk.open2ch.net/test/read.cgi/aimasu/1500210798/ 1: ◆MBta3/Lt2Q 2017/07/16(日)22:13:18 ID:9Dl 飛鳥「ああ、ようやくだ、ようやくだ。この時が来るのをずっとずっと待っていた。待ち望んでいた」 飛鳥「この日が来ると理解っていたからボクはボクでいられたんだ。キミがキミでいられたのと同じように」 飛鳥「ああ、理解っているよ。ボクらの間に能書きはいらないことくらい」 飛鳥「けど、最期はせめて孤独を癒したいと想う事に罪は無いだろう?」 飛鳥「墓所までの供も、いやしない。誰も彼も、ボクの末期を看取ってはくれないだろう」 飛鳥「人知れずボクは死んでいく。誰も、ボクのことを知らないままに」 飛鳥「けれど、これでいい。なにせ、これがボクの望んだ結末なのだから」 飛鳥「さあ、始めようじゃないか。結末は既に見えている。けれど、それでも、足掻こうじゃないか。キミを神の座から引き摺り降ろすためにね」 飛鳥「そうさ、足掻くよ、ボクは。それが、人の生き様というものなのだから。人類として、霊長類の長として、今日という日を終わらせよう」 飛鳥「さあ、待たせたね! お待ちかねのカーテンコールの始まりさ!」 ありす「何をやってるんですか、こんな屋上で」 2: ◆MBta3/Lt2Q 2017/07/16(日)22:17:44 ID:9Dl 飛鳥「ッ! ……なんだキミか。全く、驚かせないでくれ」 ありす「キミじゃないです、橘です。人の名前はちゃんと呼ぶべきだと思います」 飛鳥「悪かったよ、ありす」 ありす「橘です!」 飛鳥「わかったわかった、降参だ」 ありす「それで、何をやっていたんですか?」 飛鳥「何って?」 ありす「さっき、何かブツブツ呟いていたじゃないですか、空を見上げながら」 飛鳥「………………」 ありす「………………」 3: ◆MBta3/Lt2Q 2017/07/16(日)22:23:17 ID:9Dl 飛鳥「……どこから聞いていた?」 ありす「ヤツが来るってところからです」 飛鳥「………………」 ありす「空から何が来るんですか?」 飛鳥「………………」 ありす「………………」 飛鳥「……キミには、アレが視えないのかい?」 ありす「見えてますよ? 綺麗な青空ですね」 飛鳥「………………」 ありす「………………」 4: ◆MBta3/Lt2Q 2017/07/16(日)22:28:28 ID:9Dl 飛鳥「…………ボクは常々こう想っていた、人は美しくないと」 ありす「はあ」 飛鳥「ボク達のセカイはいつも醜い。誰も彼もが傷つけあって生きている」 ありす「…………」 飛鳥「キミは、樽の中に腐った林檎があったらどうする?」 ありす「なんですか? いきなり」 飛鳥「ただの喩え話だよ」 続きを読む