転載元 : http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1512861609/ 1: 名無しで叶える物語 2017/12/10(日) 08:20:09.39 ID:fWoH6ZEU.net ダイヤ「ぅ。ここは……?」 ダイヤ(清潔なベッド。腕から伸びる点滴の器具。どこかから漂う消毒液の匂い……) ダイヤ(病院。倒れたんですのね、私。確かに今日は暑かったから、熱中症でしょうか) ダイヤ(ナースコール……呼んだ方がいいんですのよね、これ。気は進みませんが)ポチッ ダイヤ「……」 パタパタパタ… 看護師「失礼しまーす。あ、目が覚めたんですね。こんにちは。気分はいかがですか?」 ダイヤ「……前より好調なくらいですわ。手厚い治療を施していただいたようで、ありがとうございます」 看護師「いえいえ。親切な方が119番してくださったんですよ。それがなければ、最悪、命はなかったかも」 ダイヤ「そうですか。確かに、親切な方だったのでしょうね」 ダイヤ「私のようなホームレスに救急車を呼んで頂けるなんて」 2: 名無しで叶える物語 2017/12/10(日) 08:20:48.35 ID:fWoH6ZEU.net 看護師「……やっぱり。保険証どころか身分証も手荷物も何もない。服は洗ってなくてボロボロ。そうだとは思ってましたけど」 看護師「何か事情がおありなんですか? あなたのような若い女性がホームレスだなんて」 ダイヤ「服、交換して頂いたんですのね。手術着というのでしょうか。清潔で、とても助かりますわ」 看護師「……。お名前、聞かせてもらっても?」 ダイヤ「ゆえあって名と家は捨てましたもので。恩を仇で返すつもりはないのですが、こればかりは名乗れませんわ」 看護師「……少し、待っていてくださいね」 パタパタパタ… ダイヤ「……」 パタパタ 看護師「すみません、お待たせしました。先生、どうぞ」 「ふーん。目が覚めたの。やつれて不健康そうな見た目のわりに元気そうね」 ダイヤ「!?」 「初めまして、名無しのホームレスさん。ご機嫌は如何かしら」 ダイヤ「……西木野、真姫」 3: 名無しで叶える物語 2017/12/10(日) 08:21:23.31 ID:fWoH6ZEU.net 真姫「どこかで会ったかしら? ……いいえ。まあ、いいわ」 真姫「その通り。西木野総合病院、勤務医の西木野真姫よ。あなたの担当になったわ。よろしく」 ダイヤ「……恐縮ですわ」 真姫「で、あなたの名前は? 年齢は?」 ダイヤ「そちらの看護師さんにはお答えしました。名と家は捨てた、と」 ダイヤ「年齢は……はて。この夏は家を出てから何度目だったでしょうか……」 真姫「はぁ……。言いたくないけどね。私たちは慈善団体でもなければ、暇人でもないの」 真姫「あなたがどんな理由でホームレスなんてやってるか知らないけど、浮浪者の世迷いごとに付き合ってる暇はないのよ」 真姫「もう一度聞く。名前は」 ダイヤ「返答は変わりませんわ。名と家は捨てました」 4: 名無しで叶える物語 2017/12/10(日) 08:22:22.95 ID:fWoH6ZEU.net ダイヤ「どうしても私を呼びたいというようであれば、そうですわね。カーボン、とでもお呼びください」 真姫「どこの特殊部隊のコードネームよ……」 ダイヤ(本名もさして変わりませんがね) 真姫「まったく。この手の患者は厄介者ばかりって本当ね。だから経験の浅い私が回されたんでしょうけど」 ダイヤ「なんでしたら、追い出してくださっても構いませんのよ?」 真姫「そうしたいわよ。でも、病院に担ぎ込まれた患者に対し、平等な治療を施すよう最大限の努力をするのが医者の義務よ」 真姫「分かる? 努力することが義務なの。あなたはその義務を、あなたの都合で阻害しようとしている」 真姫「諸々の手続きのためにも、あなたの素性は必要よ。場合によっては行政の力も借りることになるし」 ダイヤ「……素性を知られるわけには参りません」 真姫「……本当、面倒な患者」 真姫「いいわ。名乗る気がないなら、こっちの方で暴いてあげる」 真姫「それまで大人しくしてなさい。私はこれで失礼するけど、何かあったらナースコールを押していいから」 ダイヤ「承知しましたわ」 続きを読む