転載元 : http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1477502052/ 1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/10/27(木) 02:14:12 ID:WmOtQFK2 現在の天照大御神が隠居を決めたのは、突然のことであった。 当然、八百万の神々には激震が走ることとなる。 神はそれと定められれば恒久的に同じ名前同じ存在として崇め続けられるがその実、中身は数多の神々が名を受け継ぎ、移ろいつつ、長きにわたり絶たれることなく積み上げられてきた信仰を、後世へと紡いでゆく。 いわゆる日本国の象徴として、八百万の神々の頂点に君臨する天照大御神とて例外ではなく、天照大御神として崇め続けられど、長い歴史の中でその信仰の対象となる神は入れ替わりつづけていたのであった。 まぁ、ぶっちゃけアニメでいうCV変更である。中の人が変われどキャラクターが変わるわけではない。天照大御神の中身が水田わさびであれど、大山のぶ代であれど、いっそ野沢雅子でも天照大御神は天照大御神。 そういうことである。 2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/10/27(木) 02:23:37 ID:WmOtQFK2 とはいえ、神々は神々で割と序列関係などどうでもよく。 八百万の神々はその性質故、皆が皆何がしかの領域ではトップだと豪語できるので、「○○の神」というポジションだけで満足でき……というか、○○の神というポジションですら「ずっとやってると飽きる」とのたまいだし、同胞を集め、自主的にシフト表を編みだし、シフト制を導入している神すらいる始末であり。 「名ありの神になりたい!」などとのたまうものは大抵他の神々を圧倒する人間からの信仰を目的とした、いわば承認欲求の塊である。 とはいえど、名ありの神々はどれも他の神に比べ圧倒的な知名度であり、その座を退いてまで天照大御神にまで成り上がろうとする者もさしておらず。 つまるところ、次代天照大御神の座を巡る争いはそこまで熾烈なものでもなかった。消化試合である。 3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/10/27(木) 02:33:15 ID:WmOtQFK2 とはいえど、八百万の神々はその数八百万……と言いたいところだが、この名称はAKB48へと至る系譜の原点であり、その数そのものが神の柱数を表すわけではない……が、それなりに多い。 全体数が多ければ変態数も多い。承認欲求バリバリの神もそれなりにいる。 しかし、現天照大御神はこれらの変態どもに消化試合をさせる……これまでの前例を挙げるなれば、じゃんけんや大富豪、ラップバトルなど、そんな子どもの遊びのようなもので優劣で決めるのは実に芸がないと考えた。 何か、革新的な採用案を出さねばならない。 天照大御神は悩んだ。実に悩んだ。15分くらい悩んだ。食器を洗いながら悩んだ。 そうして編み出されたその選定方が、後に波乱を呼ぶこととなるとは、このとき誰も思いもしなかったということは、言うまでもない。 ……というか大半は次の天照大御神とかどうでもよかった。みんなオセロとか大富豪とかしてた。 4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/10/27(木) 02:41:01 ID:WmOtQFK2 して、三日くらい経って、運命の日~X-DAY~(なんかかっこいい)。 「わたしは、"天照大御神"という名に囚われることなく、神々への信仰を得られるものこそが偉大なる神と心得る!」 朝礼台に立ち、現天照大御神がマイクでなんかそれっぽいことを言う。 朝礼台の前には次代天照大御神の座を狙う神々、それを見届けんとする神々、通りすがりの野次馬が散見された。 「では、これよりみなのものには、人間に対して何かを施し、神々への信仰を増やしてもらいたい!神を信じるもの、神に感謝するもの、神に祈るもの……単純明快、そのような人々の増加数が最も多い神が次代の天照大御神を担うものとする!」 めちゃくちゃ王道であった。端の方から「北風と太陽かよ」とか聞こえてくるくらいであった。無論、現天照大御神の本棚に北風と太陽が三冊ほどあることは言うまでもない。 続きを読む