42 おさかなくわえた名無しさん:2018/09/10(月) 10:46:56.98 ID:CaSHK/8R 昭和40年代、とあるど田舎で起こったとされる話 今では到底考えられないことだが、あの頃は自動車免許の制度がゆるゆるだった 特に田舎の戦前生まれともなると顕著で、例えば車を買って無免許で峠道を飛ばし、 都市部の警察署へ 「あの山道を運転できたのなら合格ですね」と現場の警察の裁量で免許が与えられるということもあった なので免許なんかなくても車ぐらい運転できるわ、という世代が少なくなかった ──ある男が無免許の現行犯で捕まった 「おまえこれで何度目だ?」と呆れる警察官を横目に男はいつものことと慣れた様子 男にしてみれば後からルール変えた公安の方が悪い、俺は免許無しでも運転できるぐらいの認識だったろう しかし警察にしてみれば悪質な常習犯 いつしか要注意人物として男に対するマークが厳しさを増し、やむなく男はバスで移動するようになった ある日、バスに乗って山道を移動していたら様子がおかしい 男が運転席へ向かうとドライバーは気を失ってぐったりしていた このままでは大惨事になると男はとっさにサイドブレーキを引いて停車 ドライバーを降ろし他の乗客に席を譲ってもらい、そこへ座らせる 一刻も早くドライバーの救急搬送が必要だと判断したので、男はバスを運転しそのまま最寄りの事業所へ なにごとかと駆け寄る従業員に事情を説明し、すぐさま119番通報 男の咄嗟の判断が功を奏し、ドライバー、乗客、バス車体全てが無事だった このことは当然警察の耳に入ることとなり、後に男は感謝状を授与することになった 無免許とはいえ人命救助が最優先という点が認められたからだ 例の警察官もこの時ばかりは満面の笑みで、 「お前さんは村のヒーローだ、もう悪さはできないよな?真面目に生きるんだぞ」と労いの言葉をかけたという その数か月後、男はまた無免許運転で捕まった