いろは「先輩と、アフタークリスマス」

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転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1439714147/

1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/16(日) 17:35:48.01 ID:HDGh0YhN0
青春とは嘘であり、悪である。

青春を謳歌せし俺は常に自己と周囲を欺いた。

自らを取り巻く環境のすべてを否定的に捉えた。

何か致命的な失敗をしても、それすら「本物」とやらの糧とし、

思い出の1ページに刻んだ。

例を挙げよう。俺たちは何度もすれ違い、元に戻ってはまたすれ違い、

暗中模索の中、手探りで進んではそれを「欺瞞はいやだ」と叫ぶ。

考えてもがき苦しみ、あがいて悩む。計算し、計算しつくし、

答えを出してひとつづつ、消去法で残ったものが心と嘯く。

俺たちは「本物」の二文字の前に、どんな一般的な友情も、

人間関係も捻じ曲げてきた。俺たちにかかれば涙もすれ違いも、

部活も恋心でさえ本物の通り道でしかなかった。

そして俺たちはその涙に、そのすれ違いに特別性を見出す。

自分たちのすれ違いは遍く本物の一部分であるが、他者のすれ違いは、

本物ではなくただの上っ面にして敗北であると断じた。

仮にすれ違うことが本物の糧であるなら幾度となく、すれ違い続けた俺たちの関係も

本物でなくてはおかしい。しかし、俺はそれを認められない。

なんのことはない。彼女らが俺に好意を持ち、恐らくながらそれが、恋心と呼ばれるものだった

から、それ以上を躊躇したのだ。涙もすれ違いも躊躇も俺も

糾弾されるべきなのだ。

俺は悪だ。

ということは逆説的に青春を謳歌せず、本物など微塵も求めなかったほうが、

現実はうまくいっていたのかもしれない。

結論を言おう。



俺の本物はまだ見つかっていない。





2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/16(日) 17:36:40.66 ID:HDGh0YhN0
地球をアイスピックでつついたとしたら、ちょうど良い感じにカチ割れるんじゃないかというくらいに冷え切った朝だった。いっそのこと、むしろ率先してカチ割りたいほどだ。

とはいえ、カチ割ったらぬくぬくと布団の中で惰眠を貪ることもできなくなるのでやはり却下だ。

つまるところ一年のうち最も布団から出るのが億劫な季節、冬である。

より具体的に示すなら先生だかお坊さんだかが、あっちで手を取ってこっちで大騒ぎ、ほのぼのハーモニーみんなで奏でる……まではしないまでも世間が忙しくなる月、師走である。

母ちゃんは残業パラダイスなうえに家に仕事を持って帰ってくるし、親父は親父で部下の悪口をやたらと愚痴る。

……いや、後半はいつも通りだったな。俺は親父の血が入っているのでそんな上司になって部下を苦しめてしまうのかと考えると心苦しい。

心苦しいので、専業主夫になろう。なんて俺は心優しいのだろうか。専業主夫推奨の会を作ってノーベル平和賞をもらえるまである。

そんなことを考えながら、平和とは程遠い、冷たい冷たい水で顔を洗えば、夏よりも三割増しで目が覚める。

そもそも、冬の朝は夏に比べて三割増しで起きたくないので結果的には同等の目の覚め方である。ふむ、鏡に写るそこそこ整った顔、それを全力で邪魔しに来る腐った眼、いつも通りだ。

窓から見える快晴は否が応にも冬の気候を感じさせる。…………あー、学校行きたくねえ。早く帰りたい。

家に居ながらにしてホームシックになってしまった。こんなところもいつも通りである。

リビングに顔を出すと、小町が、淹れたお茶をテーブル上に並べていた。

ふむ、しかし、いつみてもわが妹は総武校の制服が似合っている。ベスト制服コンテストがあったらお兄ちゃん特別賞をあげたい。

小町「あ、お兄ちゃんおはよ」

八幡「おう、おはよう」

俺が席について数拍後、小町が席に着く。いただきますと二人で小さく唱和する。

のそのそとみそ汁や、ご飯を口に運びもそもそと咀嚼し、呑み込んだところで小町が静かな声で話しかけてくる。

小町「なんか……昔のお兄ちゃんにもどちゃったね……」

八幡「…………変わること、なんてのは結局嘘なんだよ。回りの環境が変わってそれに順応するために自分を誤魔化しているだけに過ぎない」

最近は受験勉強受験勉強アンド受験勉強でただでさえ少ない他人との会話がほぼ皆無になっている。奉仕部もとっくに引退した。

……故に、小町の言う戻ったというのは、完全ぼっちだった頃のことを指すのだろう。奉仕部を去ったときの空虚感は今でも拭い切れていない。

しかし、俺は去らずにはいられなかった。あそこまで踏み込んできてくれた二人が、それ以上を求めるのを感じ取ってしまい、怖くなった。

「本物」がほしいと言ったのは俺のほうだったのに。

俺が欲した「本物」はどうあがいたところで俺が手に入れられる代物ではなかったのだ。

小町「………………そっか」

心底残念そうに絞り出すように一言だけ返した小町は、食べる速度を加速させ、ものの数分で食べ終える。

おいおい小町よ、早食いは胃に負担がかかるとか誰かが言っていたぞ。お兄ちゃんは心配だ。

小町「小町生徒会の用事があるから先行くね。食器ちゃんと水につけといてね」

八幡「わかった」

食器を片し、カバンを背負うと小走りでかけていく。その様を横目で見送り一人だけとなった食事を再開する。

……誰だったっけな、食事は誰かと食べたほうがおいしいと言ったのは。


3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/08/16(日) 17:37:32.94 ID:HDGh0YhN0
時は流れに流れまくって放課後。あれ?タイムリープしてね?とつっこみたくなるぐらいの早い放課後の訪れだったが、あれは過去にしか行けないんだったっけか?

こっちのタイムリープはおばさんのほうだった。

今日は予備校のない日だ。早く帰りたくはあるが、そんなに急がなくてもいい。スポルトップでも買いに行くか。

八幡「売ってねえ…………」

多機能目覚ましことマイスマートフォンでググったらもう販売してねえじゃねえか……カゴメ、何をしてくれてるんだ。

仕方がない、こういうときは千葉県民のソウルドリンク、MAXコーヒーだ。

…………うん、甘い。うまい。疲れた脳に糖分が染み渡る。の三拍子!……リズム悪いな。

さっきまでスポルトップの気分だったのに飲んだ瞬間、やっぱりこれしかないよな。という気分にさせてくれる。やっぱりマッカンは最高だぜ!小学生も最高だぜ!

マッカンを一気に飲み干すと、もう一本飲みたくなった。あれ?なんかヤバイ成分でもはいってんじゃね?ドーピングコンソメスープ的な。まあ、買うんだけど。

小町「あ、おにいちゃんちょうどいいところに!」

そんなタイミングで出会ったのはLitlle Girl,My Sweet Heart,Only Cute Sister小町だった。

ちょうどいいところというのが引っかかるが、12人もいらない唯一のシスタープリンセスがそこにいるのだ。愛を表現せず、何をしろというのか。

八幡「おお、小町!愛してるぜ!」

小町「はいはい、ちょっと手伝ってほしいことがあるんだけど」

……ん?手伝い?…………なんとな~く、ほんとになんとな~くだが、嫌な予感がする。

ニコニコとした小町の表情、この季節…………生徒会。予感がじわりじわりと俺を追い詰め、背中に一筋の冷や汗が流れる。

小町が俺の腕をつかみ歩き出すところで予感は確信へと変貌を遂げる。

小町「まずは生徒会室へご招待で~す」

いやあああああああ!!いくら小町のためでもこれはいやあ!俺もう受験生じゃないすか!やだーーー!

八幡「あ、あのさ小町。俺、かえって受験勉強しないと……」

小町「んもう、お兄ちゃんてばー、家で勉強しないじゃん」

後悔先に立たずとはこのことか。いや、受験本番よりも先にこの言葉に気付けただけ、ありがたいのだろうか。どっちにしろ、家でもできるだけ勉強しようと思いましたまる。



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