転載元 : http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1390887096/ 1 : ◆GY4CZZOlWY 2014/01/28(火) 14:31:36 ID:ezv3xZxc こういった場所に書き込むのは初めてです。 見やすさを重視した改行処理など慣れない点が多いため もし不手際などがありましたら教えていただけると嬉しいです。 なるべく原作の世界観を壊さないよう配慮していますが、 多少矛盾などが出てくるかもしれません。 広い心で見守っていただけると幸いです。 2 : ◆GY4CZZOlWY 2014/01/28(火) 14:33:16 ID:ezv3xZxc 私は一度、死んだのだ。 寒くて、痛くて、寒くて寒くて、凍えそうだった。 ―――逃げなさい! 何処へ? そして、どうやって? 逃げたとして……そこに、何があるの。誰がいるの。 ない。何も。 それは、私を絶望させるには充分な事実だった。 あの時。 ―――戦え! あの時、私を生かしてくれたのは彼だった。 戦わなければ勝てない。生き残れない。 そう、教えてくれたのは彼。 凍えていた私をあたためてくれたのは彼。 彼が、私の生きる意味になった。 私のすべてになった。 それを、なんと呼ぶだろう? 3 : ◆GY4CZZOlWY 2014/01/28(火) 14:36:21 ID:ezv3xZxc ◆ 「エレン」 食堂のざわめきにかき消されない大きさで呼びかけた私に、 エレンは煙たげな視線だけを投げてよこす。 食事の手も止めない。 「エレン。何度も言っている。無茶はやめてと」 視線の次は、ため息だった。 「あれはあっちから絡んで来たんだろ。文句ならジャンに言え。オレは無茶なんてしてねぇよ」 「している。私闘は禁止されている。それを挑発に乗って……教官に見つかればただでは済まない。 無茶以外の何だというの」 「あのなぁ……。お前はオレの母親か?それとも姉ちゃんか? お小言のつもりかってんだ」 エレンの視線に剣呑な光が宿ったのを察してか、アルミンがとりなすようにまあまあ、と苦笑した。 「エレン、ミカサは心配してるんだよ。そういう言い方は良くない。 ミカサもだよ。もっと率直に言えばいいんだ」 「率直? 言っている。無茶はやめてと」 「違うよ。そうじゃなくて……例えば、心配だから危ないことはしないで、とか」 私の言い回しと、そんなに違うようには思えなかった。 とはいえ、エレンと私をずっと近くで見てきたアルミンの考えなら、それは多分、正しいのだろう。 4 : ◆GY4CZZOlWY 2014/01/28(火) 14:38:24 ID:ezv3xZxc 「……エレン。心配だから、あまり危ないことをしないでほしい。 あなたに何かあったらと思うと、私は怖くてたまらない」 私の声は、自分でも驚くほどの頼りなさを帯びていた。 エレンも困ったような表情でこちらを見つめている。 「もちろん、どんなことがあっても、あなたのことは私が守る」 私は慌てて付け足した。 エレンは、困惑からあからさまな呆れへと表情を変え、 「もういい」 私の視線から逃げるように、席を立った。 「エレン? ちゃんと食べないと……」 「しつこいぞ。……ミカサお前な。あんまオレにばっか構うな。考えんのも、やめろ」 そんなことを言われても、困る。 取り残されて固まっている私のことを、アルミンが見ていた。何とも言えない、複雑そうな表情で。 続きを読む