転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1532298509/ 1: ◆u2ReYOnfZaUs 2018/07/23(月) 07:28:29.82 ID:+QmI8LWq0 ・ゾンビSSです 2: ◆u2ReYOnfZaUs 2018/07/23(月) 07:29:47.56 ID:+QmI8LWq0 佐久間まゆは一途で、恋多き女。 自分でも、いつ、だれと恋がはじまるかわからない。 けれども手を抜いたことはない。徹底的にやった。 だから、破綻した。 どんな相手もまゆの愛を受け止め続けることはできなかった。 はじめ、彼女から打ち明けられたときは皆、陶然とする。 ふんわりと、指を梳きたくなる、栗色の髪。 とろん、と甘くゆらいでいる瞳。 ちいさいくいじらしいはな。 訪れた恋と、やがて来たる愛にふるえる唇。 少女として、女として、モデルとして磨き上げた肉体。 誰もがまゆに夢中になる。溺れる。 だがすぐに気づく。 嫉妬、拘束、排除、干渉。度を越してさらに、段階はない。 はじめから愛は惜しみなく与えられる。それがまゆにとって、よいことだから。 3: ◆u2ReYOnfZaUs 2018/07/23(月) 07:30:15.88 ID:+QmI8LWq0 また、壊れてしまった。 まゆはため息をつきながら、低い雲が広がる冬の道を歩いた。 今回も全力で愛した。だが、報われなかった。 あんなにも努力したのに。 相手のことをつまびらかに調べ上げ、朝は挨拶の電話をして、 昼はランチを用意して、夜はおやすみのキスをするために家の前でしおらしく待っていた。 短い恋だった。まだ一週間。 前の相手はこわがったから、だいぶ抑えていたのに。 おまえはおかしい、と言われた。 ひどいひと。どうして好きになってしまったんでしょう。 4: ◆u2ReYOnfZaUs 2018/07/23(月) 07:31:38.75 ID:+QmI8LWq0 まゆはマフラーの位置を直して、駅にはいった。 今回の相手は同じ会社のモデルだった。 本当は、しかるべき説明をしなければいけない。 まゆは金の卵のように大切にされているが、最悪の場合、契約の抹消の可能性がある。 だが、まゆにそんなことはどうでもよかった。 こんなにも愛したのに。こんなにもがんばったのに。誰より好きなのに。 世界はまゆにこたえてくれない。 関係が破綻するたびに、いつもこんな気持ちなる。 それでも今日は格別だった。 もう12人。 まゆはすっかり、自分の人生への自信を失っていた。 続きを読む