芥川賞候補作に類似表現 選考委員から「昇華の努力不足」 NHKニュース https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180718/k10011538941000.html 北条裕子さんの「美しい顔」が掲載された「群像」6月号(左)と石井光太さんの「遺体」 作家の北条裕子さん 今回の芥川賞で候補作の1つに選ばれていた「美しい顔」に、ほかの作品とよく似た表現があるにもかかわらず参考文献として記載していなかったことについて、 選考委員は「いわゆる盗用にはあたらない」としつつも、「自分なりの表現に昇華していく努力が若干足りなかった」と説明しました。 今回の芥川賞の候補作に選ばれ、受賞はならなかった北条裕子さんの「美しい顔」は、東日本大震災で被災した女子高校生が主人公で、北条さんは被災地を一度も訪れずにこの小説を書き上げました。 芥川賞の候補作に選ばれたあと、震災のルポルタージュ作品などとよく似た表現があるにもかかわらず、 参考文献として記載していなかったことが明らかになり、出版社や北条さん本人が謝罪する事態となっていました。 18日、芥川賞の選考会のあとの記者会見で、選考委員の1人の島田雅彦さんは、この作品についても言及し、 「いわゆる盗用にはあたらない作品だと選考委員の間で確認した」としたうえで、「そうだとしても、参照や引用した作品への態度や誠実さは問題になると思う。 事実の吟味や自分なりのフィクションとしての表現に昇華していく努力が若干足りなかったのではないかという意見があった」と話しました。 その一方で、フィクションの書き手が実際の災害をテーマに作品を書くことについては、「震災そのものを扱う小説はなかなか書きにくいという暗黙の認識が作家にはあると思うが、 それぞれにフィクションとしての装置を独自に工夫して、震災体験を間接的に書こうとするものだ」と語り、 北条さんの作品について「そういう意味では、個々の良心に委ねられる問題を改めて意識させた、すごく教訓深い作品だった」と振り返りました。 続きを読む