転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1531148157/ 1: ◆yz988L0kIg 2018/07/09(月) 23:55:57.89 ID:Fl4ZoLZ40 モバマスの持田亜里沙さんと柳清良さんが同棲しているという前提で書かれた短編集です。 ギリギリ全年齢向け。 2: ◆yz988L0kIg 2018/07/10(火) 00:01:44.90 ID:p14MV7ul0 【おはよう】 ピピピピピッ 無機質で無慈悲な朝を告げる音が清良の頭上で鳴る。 ゆっくりと左の手でその音を止めて、右手に意識をやる。 「もう起きてるのね…」 少し寂しそうにそうつぶやいて、ベッドから出る。 台所からいい匂いととんとんと軽快な包丁の音がした。 「おはようございます、清良さん」 「おはよう亜里沙ちゃん、ごめんなさいね1人で朝ごはん作らせちゃって」 「いいんですよ、昨日は1人でずいぶんお楽しみだったみたいですから」 「もしかして、妬いてるの?」 「だってひどいじゃないですか私をおいて皆で飲みに行くなんて」 「しょうがないじゃない、亜里沙ちゃんは遅くまでお仕事があったんだから」 「それはそうなんですけど…」 亜里沙はむぅと口を尖らせて、また野菜を切り始める。 「寂しかったの?」 後ろからそっと亜里沙の肩を抱く。 「ウサコちゃんと一緒だったから寂しくありません」 清良から顔をそむける。 「ふふっ、妬けちゃうわね」 「本当に妬いてます?」 「もちろん、昨日だって亜里沙ちゃんが居なくて寂しかったんだから」 「嘘つき…」 3: ◆yz988L0kIg 2018/07/10(火) 00:03:52.94 ID:p14MV7ul0 「嘘じゃないわよ」 「嘘です。昨日すぐ寝ちゃったじゃないですか」 「それは…。ごめんなさい疲れてて」 「…思いっきり甘やかしてくれたら、許してあげます」 「ど、どうすればいいのかしら」 「それは、ご自身で考えてください」 口を尖らせたまま、少しだけ期待するような目でちらりと清良を見る。 口角をあげたまま少しだけ困ったような目をしていた清良が、 何かを思いついたようにはっと目を見開いていた。 「よーしよしよし」 愛犬にそうするかのように、清良は亜里沙の髪を撫で回す。 髪を乱すように乱暴に撫でたり、耳たぶを触ったりもした。 「あっ、くすぐったいけど…でも気持ちいです」 「亜里沙ちゃんの髪、もふもふで本当に犬みたい」 いつの間にか亜里沙は包丁を手放し清良に身を預けていた。 「甘えん坊なワンちゃんね、ここがいいのかしら」 耳をなぞるにように優しく触れる。 「あっ…それ好きかもっ…」 「ふふっ、くせになりそう」 それから二人はしばらくじゃれあった。 遠くのほうでテレビが時間を告げ、二人は我に返った。 「こ、これでいいかしら?」 「あっ…はい、あの…元気でました」 もう触れられていないはずの耳が真っ赤になるのを、亜里沙は自分で感じた。 「ご飯作ってますから…あの…あっちで待っていてください」 「わかったわ。ありがとう」 ほんの少し触れるように清良は亜里沙の頬に口づけをしてリビングへ歩いていく。 亜里沙の耳が朝日のようにさらに赤くなった。 続きを読む