320: 774RR 投稿日:2014/07/21(月) 03:38:31.70 ID:6XFD/Hzc>>317 カブで思い出した。昔世話になっていたバイク屋の社長から聞いた話。長くなるが良いか? かれこれ12~3年前、1人の女の子が安い中古のスクーターが欲しいと来店した。その時在庫していたのは5~6万のディオ。彼女はバイクの知識は皆無で、その値段に驚き、その時は帰ったそうだ。ある時早朝社長が軽トラで街道を走っていると、パンクしたチャリを押して歩く女の子を見た。 軽トラを止めて声をかけると以前店に来た女の子だと分かった。その場所は店から結構離れた場所。何処か行く途中か尋ねると、専門学校に行くと。じゃあ送ってあげるからとチャリを積み、帰るまでにパンクを直しておいてあげるからと車に乗せた。近くだと思った社長は行き先を聞いて驚いた。 世田谷区まで行くと。此処は神奈川県の大和市。世田谷区までは246号線で行っても30km位ある。 近所の駅までだと思った。でも少し遠くに私鉄の駅があるからそこまで行くんだな、と勝手に思った社長。急ぎの用事があったので近くの駅まで送った。 その夜彼女から電話があり、今夜は遅くなるから取りに行けないと。でも社長は遅くても良いから大丈夫と告げる。そして彼女がチャリを取りに来た。夜も23時過ぎ。 社長はバイトして遅くなったんだろう位に考えていた。だが、彼女は電車代を節約する為にかなりの距離を何駅分か歩いて来たと言った。 社長は驚くよりも怒った。 何で電車代くらいをケチるんだ!こんな遅くに女の子が1人で何かあったらどうするんだ! 彼女は謝り、涙目で何度も頭を下げた。社長も気まずくなり、詫びた。 そして彼女は事情を話しはじめた。 山梨県生まれの彼女は東京の看護学校に通っていた。実家は裕福ではなく、仕送りも殆ど無くバイトしながら勉強していると。住んでいる大和市は、たまたま親戚が住んでいて安いアパートを世話してもらったからと。家賃は安いが、学校までの交通費が高く、どうにか節約する為に彼女は大和市から世田谷区までの中間の駅まで三ヶ月間毎日往復4時間かけて自転車で通っていたと。 そこで原付があれば楽だし早く帰って来れてバイトの時間も増やせる。で、たまたま近くにあった社長の店に来た。だが、彼女には即金で5万は出せなかった。社長は困った。親切心だけならば、どうせ乗換の下取り、タダで引取ったポンコツ。適当に直して売り捌くつもりだったから彼女にあげてしまおうか? 社長は奥さんに相談して、どうせ業者に流すか常連客に二束三文で売るなら彼女に安く譲りなさいよ。と。しかし社長は、たとえ原付でも命の危険に関わる。何のバイクの知識も無い女の子にポンコツに乗せる訳には行かない。そこで、とりあえずキチンと動く様に整備だけでもしておこう。と思った。 整備してテストして、これなら大丈夫。しかし、値段をどうするか?社長はまた悩んだ。5万が出せないのなら、自賠責、任意保険なんて知らないだろう。それにヘルメットや何やら…そこでまた奥さん登場。 全部まとめて5万にしなさいよ!アンタの工賃なんて要らないわよ! 何故奥さんはそこまで彼女に肩入れするのか?奥さんも看護師だったから。看護師の苦労をよく知っていたからだ。 社長は彼女に連絡を取る。 まだバイク欲しいの? 事の経緯を話し夜になり店を閉めた頃に彼女が来た。 これ、ちゃんと安全に走れる様に整備したから。 彼女はお金はすぐに払えないと言う。またまた奥さん登場。 即金じゃなくて良いわよ!ある時払いの分割払いよ! 社長、え? で、結局込み込みで5万、毎月五千円。 彼女は涙ぐんで喜んだ。 翌日、奥さんが彼女の委任状を持って登録に行き、その晩に渡す事になる。 乗り方は知っていた彼女は近所を一回りして大喜び。お財布から一万円札を社長に渡す。 そしてまたまた奥さんが、 五千円よ!無理しちゃダメでしょ!そうだ、夕飯食べて行きなさい! そして三人でカレーを食べる夜。 続きを読む