【イヴ】と【蛇】と【サリエリ】~世界で一番美しい生き物~

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転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1529421907/

1 : ◆axPwtNeSoU 2018/06/20(水) 00:25:08.10 ID:461SpwxA0

※短編です
※このSSは、
タイトルを書くと誰かがストーリーを書いてくれるスレ part6
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1522054323/
の>>400に投稿されたタイトル『世界で一番美しい生き物』から着想を得ましたが、思ったより長くなったのでスレ立てしました
よろしくお願いします





2 : ◆axPwtNeSoU 2018/06/20(水) 00:27:36.64 ID:461SpwxA0



「――いや、今日は良く来てくださった。心より歓迎いたしますぞ」

「お招きにあずかり光栄ですわ。【倶楽部】に入会して7年――ご自慢の【彼女】にようやく会わせていただけると聞いて、心待ちにしておりましたの」


私は目の前の、柔らかな微笑みを浮かべた老人に笑い返し、恭しく頭を下げる。

黒社会にも顔が利く世界有数の大富豪にして、【倶楽部】の大先輩。

礼儀はいくら尽くしても尽くし過ぎるということは無いはずだった。

供された紅茶と茶菓子を楽しみながら、まずは当たり障りのない、社交的な会話に興じる。

しばしの歓談の後、会話がひと段落し、部屋の中に沈黙が落ちた。

2杯目の紅茶を飲み干し、ほう、と息を吐く。


「……さて」


精緻な青の模様に彩られた白磁のカップをソーサーに戻し、老人と視線を合わせたと同時――不意に、目の前の老人のまとう空気が変わった。


「【彼女】を紹介する前に、一応念を押させてもらうのだがね……」


好々爺然とした笑みも声音も一切変わらないのに――こちらをねめつける視線の圧が違う。

こちらを腹の底まで見通し、値踏みするかのような、ぞっとするほどに冷酷な視線。


「……重々承知しております。ここで見るものについては、一切の他言無用。万が一にも秘密が漏れた場合には、速やかに【除名処分】が下される――でしたわよね?」


背中に走る冷たい汗の感触を意識の外に追い出しながら、何食わぬ顔で答えを返す。

――【倶楽部】というのは、上流階級の中でもごくごく一握りの人間しか知る者もない、秘密の動物愛好家たちの集まりだ。

希少動物、絶滅危惧種、、外来危険種、天然記念物……そういった動物たちを秘密裏に、非合法にペットとして愛でる愛好会。

当然ながら秘密はこれ以上ない程に厳守されている。

必要とあらば――【除名処分】を用いてでも。


「ならば問題ない。……いや、年をとると繰り言が多くなっていかんな」

一瞬覗いた雰囲気はどこへやら、老人はまた元の柔らかな笑みを浮かべ、ゆっくりと立ち上がった。


「あまり焦らしても申し訳がない。……では、そろそろご案内するとしようか。儂(わし)の宝、世界で一番美しい生き物――【イヴ】の元へ」




3 : ◆axPwtNeSoU 2018/06/20(水) 00:29:58.94 ID:461SpwxA0



隠し扉の奥の曲がりくねった通路を抜け、秘密の螺旋階段を下り。

私たちは分厚い扉の前に立っていた。

私が持っているのは、小さなハンドバッグのみ。

老人は、左手で杖をつき、右手には不似合いな紙袋を下げている。



使用人たちにも、ここに足を踏み入れる事は許していないのだろう。薄暗い通路は、空気を淀ませ、ひっそりと静まり返っている。

扉の脇のシステムに老人が暗証番号を打ち込み、1枚目の扉を開けた。

小部屋の中へ入り、ドアにしっかりとロックがかかったのを確認してから、反対側、奥の扉に向かう。

今入ってきた扉に施錠してからでないと、奥の扉の開錠は出来ない仕組みだ。

防犯というよりも、中にいる「彼女」を絶対に外に出さないための配慮なのだろう。

私は、ぞくぞくとした興奮を身の内に覚えていた。



――【倶楽部】の中でも極めつけの好事家として名高い老人。

これまで彼が手に入れ、世話をしてきた動物(ペット)は、ライオンなどの大型哺乳類から蛇やイグアナなどの爬虫類、インコなどの鳥類、希少な昆虫や熱帯魚にいたるまで、実に多岐に渡る。

さらに、彼が動物たちに向き合うその姿勢は、単に希少・高価な動物だけを珍重しアクセサリーとして見せびらかすだけの成金コレクターの類とは、完全に一線を画していた。


それが琴線に触れさえすれば――それこそ痩せこけた雑種の野良犬だろうが、窓から飛び込んで来たカブトムシだろうが――彼は分け隔てなく、惜しみない愛情を注いだ。

また彼は、可能な限り動物たちの世話は手ずから行い、決して使用人任せのまま放置したりはしなかった。

適切な世話をするためとあらば自ら進んで専門家や獣医に教えを請い、必要な知識と技術を身につける努力をも厭わなかった。

逆に、彼は、自分が責任を持って世話する自信が持てない動物については、決して手を出そうとはしなかった。

彼が善人かどうかは別にして――その、動物に対する愛情と献身ぶりに関してだけは、私はこの老人に、同好の士としての紛れもない尊敬の念を抱き続けていたのである。

その彼が「究極の宝」「この世で最も美しい生き物」と賛美する愛玩動物――それを、初めて目にする栄誉にあずかる事ができるのだ。


私が期待と興奮に震えたのも、無理はないだろう。





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