転載元 : http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1393416374/ 1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/26(水) 21:06:14 ID:74sQVVtY 可奈の朝は、インコのけるちゃんに挨拶をすることから始まります。 「クルクル!ピロロ!」と、けるちゃんは歌を歌うように声を上げるので、可奈もそれに合わせて歌います。 「グッドモ~ニング♪ おはよ~う♪ 今日もいい日にできるかな~♪」 明るく朗らかな歌声が部屋中に響きます。 「よしっ! 今日も喉の調子はバッチリ!」と、可奈は言って、食卓へと駆けて行きました。 2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/26(水) 21:09:23 ID:74sQVVtY 「おはよう! お母さん」と、可奈は言いました。 「おはよう、可奈。今日も元気いっぱいね」と、お母さんは言いました。 可奈は、こうしていつも笑顔で迎えてくれるお母さんのことが大好きでした。 だから、朝ご飯の途中でもたくさんのことを話したくて、ついついお箸が止まってしまいます。 「ほらほら、手が止まっているわよ。今日から忙しくなるんでしょ? だったら、しっかり食べていかないと」と、お母さんは少しばかり呆れながら時計を見ました。 「あ! そうだった! 急がなきゃ」 こう言って、可奈は大慌てでお皿に残っていたものを口に入れ、身支度を整え、玄関を飛び出しました。 3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/26(水) 21:13:39 ID:74sQVVtY この日は可奈にとって、ユニットでの活動が始まる特別な日だったのです。 一週間ほど前にプロデューサーから告げられた時の胸の高鳴りは、今でもはっきりと覚えています。 可奈は信じることができなくて、何度もプロデューサーに聞き返しました。 その度に、プロデューサーはふふっと笑いながら首を縦に振りました。 可奈は自分の体の中から力が溢れてくるのを感じました。 一人ではできないことを誰かと作り上げられることが嬉しくてたまらなかったのです。 4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/26(水) 21:17:27 ID:74sQVVtY それから、可奈の気持ちが高ぶったのにはもう一つわけがありました。 それは、パートナーが志保だったことです。 可奈と志保は同い年でしたが、これまでレッスンに居合わせても話をする機会がほとんどありませんでした。 しかし、ユニットを組むとなれば自然と会話をすることになるでしょう。 二人の良いところをいっぱい足して、魅力を広めちゃおう。 こう思って、可奈は興奮のあまり歌いだしそうになるのをなんとか抑えて劇場へ急ぎました。 5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/26(水) 21:20:42 ID:74sQVVtY ところが、レッスンを重ねても、可奈が思い描いていたようになることはありませんでした。 物事はなかなか思い通りにはならないと言いますが、可奈はそのことをいたく実感しました。 志保は非常に練習熱心で、決められた二人きりの合同レッスンでもてきぱきと課題をこなしていました。 可奈は、なにもかもに興味を惹かれました。 歌唱も、姿勢も、集中した眼差しも、……。 大勢が集う場所で一緒に練習していた時よりも鮮烈に映りました。 可奈は、足を引っ張ることだけにはならないように、私ももっと頑張ろうと思いました。 そして、志保と練習法をきっかけに話してみようと考えました。 続きを読む