転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1490746150/ 1: ◆KakafR9KkQ 2017/03/29(水) 09:09:10.88 ID:Fdb4Q9AA0 私、最上静香は今とても急いでいる 親友との約束に遅れそうなのだ 遅れる理由は仕事のためで、そもそも仕事がこんなに建て込んでいるのは明日とても大切な用事があるからで、その用事は彼女絡みで、だから遅れるのは…… と、言い訳しても仕方無いので、私は今平日の都会を早歩きで渡っている やっと待ち合わせのカフェに着いて、彼女の姿を探す よく考えてみたら彼女と直接会うのは何年ぶりだろうか、前回会った時の彼女はまともな状態では無かったし…… つまり私は今の彼女の姿を知らないのだ 少し不安だったがそれは杞憂だった、カフェのオープンテラスを少し見回せば彼女はすぐに見付けられた おしゃれなカフェにとびきりの美人、彼女は圧倒的な存在感を放っていた 2: ◆KakafR9KkQ 2017/03/29(水) 09:10:55.73 ID:Fdb4Q9AA0 静香「ごめん、お待たせ星梨花」 星梨花「あっ、静香さん 全然待ってないですよ」 箱崎星梨花、元765プロのアイドルで私のアイドル時代の仲間 アイドル時代はその天使のような可愛らしさとそれを引き立たせるツインテールが特徴だったが 今の彼女は背中ほどまで伸びた髪をひとつに纏め、可愛らしさより24歳相応の綺麗さが際立っていた 星梨花「ごめんなさい、先にコーヒーいただいちゃって」 静香「いいのよ別に、それより」 星梨花「?」 直接会えた彼女に、私はまずこの言葉を送った 静香「結婚おめでとう 星梨花」 星梨花「ありがとうございます、静香さん」 3: ◆KakafR9KkQ 2017/03/29(水) 09:11:48.09 ID:Fdb4Q9AA0 星梨花「……でも、その台詞は明日まで取っておいてくださいね?」 静香「あ、ごめん 星梨花の顔を見たらつい言いたくなっちゃって」 星梨花「ふふ、静香さんにも同じことを言える日を楽しみにしていますよ」 静香「私は…… まだまだよ……」 静香「それで、今日はどうしたの?」 星梨花「はい、友人代表として手紙を読んでくれる静香さんに改めてお礼を」 星梨花「それと、静香さんには色々聞いて欲しくて、これまでの私のこと、『彼』とのこと」 静香「えっ…… と……」 星梨花「あ、マリッジブルーとかではないですよ、私は彼のことが大好きですし、この結婚をとっても嬉しく思ってます」 星梨花「ただ、これまで色々なことがあったので、少し気持ちの整理をしたくて……」 星梨花「お話、聞いていただけますか?」 静香「ええ、もちろんよ」 4: ◆KakafR9KkQ 2017/03/29(水) 09:12:40.02 ID:Fdb4Q9AA0 星梨花は巨大企業グループの会長の一人娘で、今の私のようにずっとこの世界で仕事をしていくわけにはいかなかった 最初からタイムリミットのあったアイドル生活、もしかしたら彼女の中では私たちの知らない葛藤があったのかもしれない アイドルを辞めた後の星梨花はお嬢様として勉学に努め、良いお嫁さんとなるための修練を重ね、『大人』になった 星梨花「私、子どもの頃は大人にになったらみんな自動的に『お父さん』と『お母さん』になると思ってて」 星梨花「高校生くらいにそれは違うってわかったんですけど、私の場合はそれで正しかったみたいです」 続きを読む