転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1506826481/ 1: ◆hAKnaa5i0. 2017/10/01(日) 11:54:42.01 ID:hHdLcnPw0 【前川みく】 前川みくは遅刻した。 だが、彼女は幸せな気分だった。 朝から猫と遊べたからだ。 彼女がその猫を見つけたのは学校に向かう途中のことだった。 前川みくはいつも通りの時間に寮を出た。 彼女は空き地のそばを通りかかった。 まんじゅうのように丸まっている猫を見つけた。 猫は三毛猫だった。 ずんぐりむっくりしていた。 猫は放置されたコンクリートブロックの上で寝ていた。 2: ◆hAKnaa5i0. 2017/10/01(日) 11:55:28.54 ID:hHdLcnPw0 前川みくはカバンから猫じゃらしを取り出して、近づいた。 三毛猫は目を開けた。 じっと猫じゃらしを見つめた。 トコトコ近づいてきた。 そして嬉しそうにじゃれた。 前川みくの表情は緩んだ。 夢中になった。 しばらく遊んでしまった。 2本電車に乗り遅れた。 「前川が遅刻なんて珍しいな」 担任の教師は微笑んだ。 前川みくは申し訳なさそうに頭を下げた。 だが後悔はしてなかった。 猫と過ごした時間は楽しかったからだ。 猫の写真も撮った。 あとでPチャンに話をしよう。 あとでPチャンに写真も見せてやろう。 そう考えてまた心が弾んだ。 前川みくがいなくなったあと、三毛猫はあくびをした。 眠気が覚めてしまった。 三毛猫はゆっくりと歩き始めた。 3: ◆hAKnaa5i0. 2017/10/01(日) 11:56:01.68 ID:hHdLcnPw0 【島村卯月】 島村卯月は困っていた。 自分のバックの上に猫が乗っていたからだ。 彼女は公園で渋谷凛と待ち合わせをしていた。 早く来すぎていた。 トイレに行っておこうと1度その場を離れた。 持っていたバックをうっかり置いたままにしてしまった。 幸いにも盗まれることはなかった。 だが珍客が現れた。 ふてぶてしい表情の三毛猫だ。 4: ◆hAKnaa5i0. 2017/10/01(日) 11:56:40.67 ID:hHdLcnPw0 三毛猫は島村卯月のバックの上で身体を丸めていた。 気持ちよさそうに目を閉じていた。 それで島村卯月は困った。 スマートフォンのカメラを起動させた。 写真を撮った。 改めてどうすべきか悩んだ。 「猫さん。すみません。それは私のバックなんです……」 彼女は控えめに猫のひたいを突っついた。 三毛猫はうっとおしそうに目を開けた。 島村卯月をいちべつするとまた目を閉じた。 彼女は狼狽した。 「……気持ちよさそうに寝てますし。起こすのはしのびないですね」 5: ◆hAKnaa5i0. 2017/10/01(日) 11:58:01.52 ID:hHdLcnPw0 島村卯月はバックの隣に腰を下ろした。 尻の部分が汚れないようにハンカチを引いた。 そして猫を間近で見た。 思わず笑みがこぼれた。 人差し指で猫の頭を撫でた。 毛並みは整っていた。 ツヤツヤしていた。 三毛猫はうなった。 不機嫌そうな声だった。 島村卯月はだらしなく表情が緩んだ。 まもなく渋谷凛がやってきた。 渋谷凛も表情を緩めた。 彼女は猫に反応したわけではなかった。 「卯月。何にやけてるの?」 渋谷凛は苦笑した。 島村卯月は喜んだ。 この出来事を話したくて仕方がなかった。 「あのですね。凛ちゃん♪」 2人が話している間に三毛猫はカバンから飛び降りた。移動した。 三毛猫はうるさい場所があまり好きではなかった。 続きを読む