転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1529139072/ 1: ◆2bkSL9jEFwKs 2018/06/16(土) 17:51:12.84 ID:xBdv83aFo 女神様の加護を授かり、勇者としての使命を負ってから、私はただひたすらに剣をふるってきた。 祖国での鍛錬は血反吐を吐くほど厳しく、実際の旅路はそれをはるかに上回る過酷さだった。 いくつもの死線を潜り抜け、それでも私が折れなかったのは、多くの人々に支えられてきたからだ。 私に戦う術を教えてくれた師匠。旅の中で触れあい励ましてくれた名も知らぬ街人たち。 私の背中を守ってくれた頼れる仲間たち。 そして、最愛の人。 みんながいたからこそ、私は今日まで勇者でいることができた。 報いなければならない。世界に平和を取り戻すために、今日、勝たなければならない。 敵も味方も、いくつもの屍を踏み越えて、ついに私たちは魔王の元に辿り着いた。 魔王は強大だろう。でも、私たちなら……この仲間たちとなら、魔王にだってきっと勝てる。 勝って、すべてを終わらせるんだ! そう思っていた。 2: ◆2bkSL9jEFwKs 2018/06/16(土) 17:54:41.19 ID:xBdv83aFo 女勇者「そ、そんな……」 私はついに、膝から崩れ落ちた。 玉座の間の冷たい床が、急速に熱を奪っていく。 血に濡れてボロボロになった利き腕は、もう指先を動かすこともできない。 王より授かった聖剣は遥か後方に転がっており、光を失っていた。 女勇者「僧侶……魔法使い……」 共に戦ってきた仲間たちの名前が、口から零れる。 視界が定まらないまま、彼女たち”だったもの”へ虚ろな目を向ける。 骨は折れ、肉は潰れ、体は引き裂かれ。 目を見開いたまま、彼女たちは絶命していた。 女勇者「っ……戦士……!」 そして。 旅の始まりから、ずっと私を守ってくれた、かけがえのない人。 私が愛し、私を愛してくれた彼は、魔王の攻撃から私を庇って。 腰から上を消し炭にされて死んだ。 3: ◆2bkSL9jEFwKs 2018/06/16(土) 17:57:00.78 ID:xBdv83aFo 死んでしまった。みんな。あまりにもあっけなく。 こんな、嘘だ。だって私たちは、世界を守るために、今日までずっと……! 魔王「もう終わりか?」 女勇者「ヒッ……!?」 喉が引きつり、小さな悲鳴が上がった。 反射的に後ずさろうとしてしたが、腰がガクガクと震えるだけで、それすらできなかった。 そんな私を見下ろしながら、魔王は悠然とした歩みで近づいてくる。 切り傷程度は負っているものの、その歩みはまるで疲れを感じさせない。 惨敗だった。 私たちが積み上げてきた何もかもが、魔王には通用しなかった。 強すぎる。理不尽なまでの強さに、私の心は絶望で塗り潰されていた。 魔王「女神の加護を受けた人間とやらはどの程度のものかと思っていたが……この程度か」 魔王が歩みを止めた。魔王の低い声が、頭上からのしかかる。 押しつぶされそうな重圧に、心臓が締め付けられる。 私は…… 【どうする? ↓2】 1.わずかに残った勇気を奮い立たせ、魔王を睨みつけた。 2.何もできず、唇を噛み締めた。 3.泣いて命乞いを始めた。 【※連投、連続取得、その他あんまりな安価は再安価 or 安価下の場合あり】 5: 以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2018/06/16(土) 18:02:02.73 ID:2gNVHzX7O 1 続きを読む