転載元 : http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1399449309/ 1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/07(水) 16:55:09 ID:dL3gmNng 「やった…やったってばよ!」 ナルトが振り返る。 ぼろっぼろのその顔に、満面の笑みを浮かべて。 そうだ、全ては終わったんだ。 俺の後ろから、歓声と足音が押し寄せる。この戦いに関わった全ての人が、ナルトに駆け寄る。 英雄を、祝福するために。 もみくちゃにされた挙げ句、終いには胴上げされて投げ飛ばされているあいつを見ていると、不思議な気分になる。 2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/07(水) 17:02:23 ID:dL3gmNng 何年ぶりかの共闘を終えてしまうと、 まるで、ナルトとはずっとずっと第七班として一緒に過ごしていた気さえしてくる。 あいつと過ごした時間より、敵対的していた時間のほうが長いというのに。 ただ、強いて言うならあの胴上げを少し離れたここから見ている、その距離は、確かに埋まらない時間を表している気もする。 3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/07(水) 17:12:12 ID:dL3gmNng ―――――だめだ。 まだ、俺は考え事をゆっくりとするわけには行かない。 俺には、まだやり残したことがあるのだから。 なにも、戦争の手伝いをしてやるためだけにわざわざ来たのではない。 むしろ、こちらのほうが本題だった。 やっと胴上げから解放されたらしいナルトに声をかけた。 「ナルト、こんな時に何だが、二人で話をしたい」 4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/05/07(水) 17:27:46 ID:dL3gmNng 「おー、でっかい月だってばよー」 第一声はそれだった。漆喰で塗りつぶしたような空を見ながら、ナルトは大声で呟く。 浮かぶ満月は異様に眩しく、辺りは充分に明るい。 俺とナルトが二人になることに反対したヤツも多かったが、結局ナルトはその声を押しきり、ここに来たのだった。 「でさ、サスケ、話って何だってばよ?」 ナルトは渇いた地面に座りこんで、俺を見上げながら尋ねた。 俺も隣に腰を下ろす。 「いや、特にはないんだ」 「ハァ!?」 すっとんきょうな声をあげるナルトに、言葉を返す。 「ただ、二人で、話したかっただけだ」 「そっか」 ナルトの返事は、どことなく嬉しそうに聞こえた。 ――――ただ話がしたいなんて、口実に決まっているのに。 続きを読む