転載元 : http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1396706863/ 1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/05(土) 23:07:43 ID:ITEov0hw 男「木の上にいるんだろう?」 妖怪「……」 男「降りておいでよ、話そう」 妖怪「……何も話すことなどない」 男「そう言わずに」 妖怪「失せろ」 2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/05(土) 23:10:29 ID:ITEov0hw 男「いいじゃないか、話したいんだ。暇だろう?」 妖怪「勝手に声をかけておいて暇妖怪認定とは……」 男「実際暇だろう?」 妖怪「私にはここでこの地域を見守る義務があるのだ」 男「そこの鳥の巣を見ていただけだろう?」 妖怪「……」 男「雛が孵っているね。よかったな」 妖怪「だまれ」 3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/05(土) 23:14:43 ID:ITEov0hw 男「ここは俺の通学路なんだ」 妖怪「勝手に語りだすな。私には関係ない」 男「だから知ってる。君が俺に気づいていたことも、その巣をずっと見守っていた事も」 妖怪「黙れと言っている」 男「俺が君の事を認識できている事には気づいていなかったみたいだね」 妖怪「何かうるさい人間が喚いているな。頭がおかしい奴なのだろうか」 男「さっき声をかけた時にビクッとしてた気配が伝わってきたよ」 妖怪「だまれ!!」 4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/05(土) 23:18:33 ID:ITEov0hw 男「毎日そわそわしながら巣を見続ける毎日だったね」 妖怪「うるさい」 男「雨の日は巣が落ちないかどうか心配そうだったな」 妖怪「だまれだまれだまれ」 男「そっと巣の土台部分の木の枝を増やしてやったりしていたね。 親鳥が巣を離れた少しの間に、気づかせないように」 妖怪「なんなのだお前は」 男「優しいんだな」 妖怪「なんなのだお前は!!」 5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/04/05(土) 23:24:07 ID:ITEov0hw 男「俺はただの人間の学生さ、知っているだろう?」 妖怪「貴様のことなど知らぬ!ただこの道を通っている人の子、それだけだ」 男「でも、もう俺たちは会話をしただろう?」 妖怪「ぐぬ……」 男「こっちへ降りておいでよ。今は俺以外に人間はいない」 妖怪「なぜ私が降りなければならないんだ、お前と話をせねばならぬのだ」 男「何故なら俺が話したいからだ、そして俺はそこへは行けないからな高くて」 妖怪「百歩譲って話がしたいだけならばこの状態でもいいだろうが」 男「うーん、じゃあ今日は帰るよ」 妖怪「え?」 男「明日また来るな」 スタスタスタッ 妖怪「……ぁ…………」 妖怪「………………なんなのだっ!!」 続きを読む