転載元 : http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1393871578/ 1 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/03/04(火) 03:32:58 ID:0O71LnaM 高校に入学して1年目の寒い冬、俺に初めての彼女ができた。 初恋は近くのケーキ屋のお姉さん。いつも赤いアクセサリーを身に着けていたお姉さん。 理由を聞くと、名前にアカがはいっているから。彼女は「子供っぽいでしょ?」と笑いながら、小学生でさらに幼い俺に言った。 俺は彼女の笑顔が好きだった。とてもかわいくて、魅力的で、元気な笑顔。 その笑顔を見るために、嫌いなケーキを親にねだった。 俺はスポンジが嫌いだ。 彼女はとてもおとなに見えた。大人ってことがなんなのかわからないけれど、あれが大人なんだろうと、母親を見ながら思った。俺の母親の笑い方は下品だった。 2 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/03/04(火) 03:33:44 ID:0O71LnaM だからエレベーターで優しく微笑む彼女の胸を必死に吸う夢なんて見たんだろう。あれが俺の性への目覚めだったに違いない。エロさなんてなかった。ただただ安心をおぼえる夢だった。なのになぜか、なぜかとても興奮する夢だった。 それまで誕生日にもクリスマスにも、なにか記念ごとの度にハヤシライスをねだっていた俺は、とにかくケーキが欲しかった。 父親はハヤシライスが嫌いだ。 いつも火曜日にいることは店の前を通っていたときに窓越しに見えていたから知っていた。何とかして彼女と話がしたかった。 きっと彼女はこちらの気持ちに気付いていただろう。きっと母親も。 だから母親はケーキをねだる俺を下品に見つめていたのだ。 母親を説得し何とか火曜日に店に行くと彼女と必死に話をした。子供の話すことだから、学校でのくだらない愚痴や、流行りのゲームの話ばっかりだったが、彼女はとてもきれいな笑顔でその話を聞いていた。俺は彼女が好きだった。 3 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/03/04(火) 03:34:51 ID:0O71LnaM 彼女は俺のことを覚えていたのだろうか。男のみじめな勘違いかもしれないが、 彼女は俺が店の前を通るといつも笑ってくれている気がした。 俺は目が悪かった。 そんな彼女と一年がたち、俺は少しは成長したのだろうか、いつも一方通行で彼女の相槌すら待たないマシンガントークから成長できたんだと思いたい。俺は初めて彼女のことを聞いた。 彼女は俺が想像した通りの声だった。とても柔らかで、とても透き通っていて、とても可憐な声。 俺は初めて彼女の声を聞いた気がした。 彼女はしっかりと接客してくれる娘だったのに。 4 :以下、名無しが深夜にお送りします 2014/03/04(火) 03:37:21 ID:0O71LnaM 彼女は高校2年生だった。 俺と出会ったのはバイトを始めたばかりの頃だったと言った。 俺にはアルバイトと正社員なんて言われても区別なんて付かなかったから、彼女に「お父さんと同じだね」といった。 初めて彼女の苦い笑顔を見た。 ビタースマイル。 そんな彼女も魅力的だった。 きっと俺も彼女と同じくらいの齢を重ねれば、彼女と同じように笑えるのだろうと思って いた。なにも知らなかったんだ。 続きを読む