転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1528819823/ 1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/13(水) 01:10:23.65 ID:WdHVcwpo0 ※地の分が少しあります。 サンダース大付属戦車道隊長ケイの朝はハンバーガーから始まる。 ビッグサイズのバンズから、はみださんばかりのパテ、 それにオニオンスライス、ピクルス、チーズ。 そこに、噛みついた瞬間溢れて零れるほどの たっぷりのトマトケチャップ。 もはやトマト味の甘味料と言った方がいいほどの 甘味はケイの起き抜けの脳を覚醒させてくれる。 口の端についたケチャップを親指で拭って舐めとり、 ケイはスクールバッグをひっさげた。 2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/13(水) 01:14:25.26 ID:WdHVcwpo0 ケイ「で、アンツィオ汚染って何の事?」 アリサ「アンツィオから仕入れているトマトペーストは ご存知ですか?」 ケイ「ええ、知ってるわ。アンチョビに試供品も貰ったし」 ケイ「私は甘味が足りないなーって思ったけど」 アリサ「……隊長は馬鹿舌だから」 ケイ「何か言ったー?」 アリサ「ノー、マム。近年のロハスブーム、自然食ブームで 今いくつかの学園艦で大人気なんです」 アリサ「もともとアンツィオでの生産数も少なく他校も 争って買うので転売する輩まで現れる始末」 アリサ「いまではトマトペースト一瓶と同じ重さの 硬貨で取引される、なんて話」 ケイ「大航海時代のコショウじゃないんだから……」 3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/13(水) 01:15:33.91 ID:WdHVcwpo0 アリサ「ともかく、需要に供給が追い付いていないのが 現状なんです」 アリサ「そこでここはアンツィオと大量購入の契約を結んで アンツィオの生産力そのものを底上げするべきかと」 ケイ「んー、別にそれはいいんだけどさ」 ケイ「汚染、なんて物騒な単語を使う問題かナ」 アリサ「……厄介なことに一度アンツィオ秘伝のトマトペースト に鞍替えした生徒はそれ以外では満足できなくなって」 アリサ「サンダース農業科印のケチャップがさっぱり 売れなくなって、関税をかけろなんて声まで」 ケイ「それで汚染、か。嫌な話だけど、地場産業も 大切なことだからねー」 ケイ「私は農業科とお話したいから、買い付けのほうは ナオミに任せようかな」 アリサ「あ、いえ、ナオミは……」 ケイ「どーかしたのー?」 アリサ「ナオミは、今、療養中で……」 ケイ「え、嘘!? 言ってよモー! 今のだって 大事な話だけど、仲間の病気より優先することじゃないよ」 ケイ「お見舞いに行かなくちゃ」 アリサ「い、いえ。ナオミは、今私の部屋に」 ケイ「あれ? アリサが看病してたの?」 4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/06/13(水) 01:16:54.92 ID:WdHVcwpo0 ナオミ「(くっちゃくっちゃ……)」 ケイ「な、ナオミ……? 生気が抜けてる、ケド……?」 ナオミ「トマト……ペー、す、と」 ケイ「あ、アリサ、これはいったい」 アリサ「わ、私が……私が悪いんです! 最近 トマトペースト中毒の子が多いって聞いて」 アリサ「ナオミは無頓着に見えてこだわりは分かる、 みたいなキャラ作ってるとこあるから!」 アリサ「隊長と違って違いの分かる女なんでしょって……」 アリサ「面白半分で……チリやらオムライスやら 振る舞ってるうちに……すっかり……中毒に……」 ケイ「え、まずそんな話私全く知らないのに 軽く疎外感覚えるんだケド……」 アリサ「もうアンツィオのトマトペースト味以外 なにも受け付けなくなって……」 ケイ「そんなこと……ほらガム噛んでるでしょ?」 アリサ「ガム……? っ! ナオミ! すぐ吐き出して!」 アリサ「トマトペーストの、瓶のラベル……こんなものまで」 ケイ「ヒェっ」 アリサ「ごめんね……ごめんねナオミ……私がすぐ 買ってくるから……二万もあったら一瓶位……」 ケイ「ちょ、ちょっとアリサ! たかがトマトペーストに そんな値段……」 アリサ「でも……私のせいですから……ナオミ…… 大丈夫よ……無線傍受器売ってお金作ったらすぐに……」 ケイ「あ、それは売っておくべきかも……いやそうじゃない!」 ケイ「トマトペーストは私が何とかするから! アリサはナオミの看病をお願い! いい!? はやまっちゃ駄目だヨ!?」 続きを読む