転載元 : http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1350220860/ 1 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/10/14(日) 22:21:00 ID:kroEHKpU 少女「そう。1エピソードにつき1000円でどんな思い出も消してやろう」 男「それって、精神科みたく薬でストレスを和らげるとかか」 少女「違う。ちなみに催眠術で記憶の奥に封じ込めるとかでもない」 少女「あと悪い思い出であるほうが個人的には嬉しい」 男「いい思い出消したい人なんて居ないだろ」 少女「以前付き合っていた恋人との思い出を消して、前を向くというのはどうだい?」 男「……ッ」 少女「おやぁ? もしかして君は恋愛関係の思い出を消して欲しいのかい?」にたぁ 男「?」ぞくっ 2 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/10/14(日) 22:28:32 ID:kroEHKpU 男(なんだよ、その笑顔は) 少女「実際にサービスに入る前に、今から私がやることを説明しておこうか」 少女「まず私は『記憶』を消すのではなく、『思い出』を消す」 男「何が違うんだ?」 少女「変に穿たないいい質問だ。話が進めやすい」 少女「つまりはその思い出に対して『吹っ切れた』状態にするような感じだ」 少女「起こったことは覚えているが、それを思い出してストレスを感じることも感傷に浸ることもない」 男「……えーと、寝る前に思い出して鬱々とすることもなくなるってことか」 少女「ははは! 良い例えだ。実際に悩んでいるだけはある」 3 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/10/14(日) 22:40:58 ID:kroEHKpU 男「でもそんなこと、どうやったら出来るんだよ」 少女「口頭で伝えても信じないだろうから、それはやってみてからのお楽しみだ」 少女「で、どうする。金を出すか、自分の思い出に縛られて生きるか」 男「言い方がおっかないな……」 男(……でも1000円か。今月は金を使う予定もないし、胡散臭いけどやってみてもいいかもしれない) 男「分かった。払うよ」ぺらっ 少女「ああ、お金は終わってからでいいよ。実際に出来るのか胡散臭いだろう?」 男「良心的だな」 少女「ああ。それなのに客は皆『性格最悪だな』と口をそろえて言うよ」くっくっ 4 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/10/14(日) 22:54:49 ID:kroEHKpU 少女「ではまず話を聞かせてもらおうか」 男「は?」 少女「だから、お前が消したい思い出について話せって」 男「……できれば、話したくないんだけど」 少女「実際にどんな思い出を消して欲しいか、分からないと消せないんだよ」 男「……仕方ないことなんだよな」 少女「そうとも。出来ないなら、金を払わず帰っていい」 男「……去年の四月なんだけど」 少女「ふむ」きらきら 男(何で楽しそうなんだよ……) 5 :以下、名無しが深夜にお送りします 2012/10/14(日) 23:07:26 ID:kroEHKpU 男「好きな人がいたんだよ。中学一年のときから同じクラスの」 男「偶然席が隣同士だったときがあって、ちょくちょく雑談してたりしたら、いつの間にか惚れてた」 少女「中学生特有のアレだな。童貞っぽい」にたにた 男「……君、何歳だよ」 男「それで、まあ君が言うとおり童貞なんでね。特に何か行動を起こすこともなかった」 男「授業中に小声で話しているだけで、そのときは幸せだったんだ」 男「どうせ席替えがあれば疎遠になると思ってたからね」 男「でも違った。席替えをした後は昼休みに時々話しかけてきてくれた」 男「俺の話を、面白いって言ってくれたんだ」 続きを読む