転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1526291243/ 1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/14(月) 18:47:23.47 ID:uhnnpcVlO 総選挙の話題に触れています。思ったことを手前勝手に書いています。アイドルのキャラがぶれているかもしれません。苦手な方はご注意ください。 2から始めます。短いです。 2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/14(月) 18:48:56.67 ID:uhnnpcVlO 白菊ほたる、総合十一位。属性六位。 それが、おれの前に突き付けられた現実だった。 今回の総選挙は、チャンスだった。CGの決選投票が安部菜々と本田未央に集中していることで、ほかの層は薄くなるんじゃないかと予想されていた。直前にはほたるの単独PUの仕事も入り、これは初めて天がほたるにくれた好機だと思った。俺もほたるも、この一月は普段の三倍は頑張った。だから、きっと、届くはずだと思っていた。 だけど、結果はこれだ。 「……ちっく、しょう……」 歯噛みする。抱いてはいけない感情が胸の内を支配する。 Cu一位、安部菜々。それは仕方がないというか、おれだって嬉しい。けれど、以下四人はどうだ? 全員既にCDデビューしていて、各企画への露出も十分過ぎるほど十分なアイドルばかりだ。それでいて、はっきりいって、今回の総選挙ではCGに届く可能性は殆ど無い。今回の総選挙は、安部菜々と本田未央のぶつかり合いだと、最初から分かっていたのだから。 であるなら。であるなら、なぜ。 おれはずっと、あの子の姿を見てきた。理不尽な不幸に遭いながら、それでも歯を食いしばって何度でも立ち上がるあの子の姿を。 だから思ってしまう。そんな子に、どうしてたった一度、救いの手を差し伸べることが出来ないんだと。もう十分持っている子より、持たざる子に、機会というものは与えられるべきなんじゃないかと。 「……ちがう……っ」 いや、違う。 CG総選挙は、ボイス総選挙でも、チャリティーイベントでもないのだ。 3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/05/14(月) 18:50:03.00 ID:uhnnpcVlO CG総選挙は、自分のいちばん大切な子を応援する場。だから俺もそうしたし、みんなもそうした。それだけの話。 それに、同情で得た人気になんの意味がある? ほたる自身も、そんなのはきっと喜ばない。 それは、分かっているけれど。 今年も届かなかった。その事実はこころに重くのしかかり、そしてそれは、あまりにも重い。 「…………ほたるに、会いにいかないと」 おれはあいつを、いちばんにしてやれなかった。ほたるに、歌をやれなかった。だからせめて、あいつが辛い時に隣に居るぐらいはしてやりたい。今日はオフだから、ほたるは女子寮に居るはずだ。 事務所のロビーに出る。そこで不意打ちを食らった。 「ほたる……」 ほたるが居た。 フロントに備え付けられた大きな液晶テレビ。そこに映る総選挙の結果告知を前に、ほたるは呆然と立ちつくしているようだった。それがあまりに痛ましくて、おれは咄嗟に声を掛けられない。 「あ……」 ふとこちらに顔を向けたほたるが、おれを認めた。おれとほたるの間はほんの数メートル。声を掛けるのに困る距離ではない。だけどおれは何も言えなかった。なんて言えば良い? 気にするなだなんて、次こそ頑張ろうなだなんて、どうやったら言える? おれは、ほたるに責められる覚悟をした。二人ならきっと、あの舞台に立てる、立たせてみせる。その約束を守れなかったのだから、どんな誹りも受けるつもりでいた。 つまり、おれはほたるのことを何も分かっていなかったのだ。 続きを読む