転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1522365217/ 1: ◆CItYBDS.l2 2018/03/30(金) 08:13:37.76 ID:hRbC8D020 行政官「それでは、面接を始めたいと思います。えーっと、その前に一点だけ」 行政官「どうして3人でいらっしゃったんですか?」 若い男「ほら言われた」 戦士「いや、しかしだなあ」 魔法使い「心配だし・・・」 行政官「お答えいただけますか?」 若い男「すみません。彼らは、志同じく共に魔王を打倒すと約束した俺の仲間達です」 大司教「仲間たち?」 若い男「ええ。体の大きい男が戦士。ちっこいのが魔法使いです」 剣聖「この面接を受けるのは、貴様で間違いないのだな?」 若い男「はい」 剣聖「・・・何故、一人で来なかった」 若い男「すみません。俺のことが心配だって言って付いてきちゃったんです」 行政官「ついてきちゃったって」 戦士「こいつが勇者に選ばれるかどうか、この目で結末を確かめにきた」 魔法使い「ごめんなさい、彼は、その・・・なんというか、ちょっと頼りないので・・・心配で」 行政官「ま、まあ、いいでしょう」 行政官「それでは、始めましょうか」 行政官「貴方が新たな勇者たるかどうかを見極める面接を」 2: ◆CItYBDS.l2 2018/03/30(金) 08:14:09.28 ID:hRbC8D020 ―――――― 一組目 若い男と仲間たち ―――――― 3: ◆CItYBDS.l2 2018/03/30(金) 08:14:42.93 ID:hRbC8D020 大司教「あれは、ダメだな。勇者には不適格だ」 行政官「いきなりですね」 大司教「先代勇者はたった一人で、魔王と戦い打倒したのだぞ」 大司教「先ほどの若い男は何だ、仲間だなどと甘っちょろいことを言いおって」 大司教「ピクニック気分で、魔王を討伐できると思っているのではないのか」 行政官「それは、女神正教の大司教としての意見ですか?」 大司教「馬鹿なことを言うな!これは、単なる個人的な意見じゃ」 行政官「なるほど、では記録には残しませんので」 大司教「そうしてくれ。・・・まったく近頃の若い者たちは。勇者を舐めているのか」 剣聖「・・・」 剣聖「・・・いや、大司教。アンタこそ魔王を舐めているんじゃないのか」 大司教「なんだと!?」 行政官「どうどう」 剣聖「・・・アンタも知っているだろう」 剣聖「魔王は復活した」 剣聖「あの勇者との戦いで、確実に致命傷を浴びたはずの男がだ」 大司教「もちろん、知っておるわ。それがどうした」 剣聖「人は失敗を糧に成長する、ならば魔物はどうだ?」 大司教「魔物など・・・人と獣とを同等に比較してどうなるというのだ」 剣聖「獣とて学ぶ、昨日罠にかかった鹿は明日罠を避ける」 剣聖「高位の魔物は、人より優れた知能をもつ。現に魔王はそうであった」 4: ◆CItYBDS.l2 2018/03/30(金) 08:15:13.79 ID:hRbC8D020 大司教「・・・」 剣聖「死を経験した魔王。ただでさえ厄介な男が、さらに経験を積んだとしたら?」 行政官「魔王は、前回より強くなっていると?」 大司教「なんの根拠もない。ただの推論ではないか」 剣聖「冒険者は常に最悪を想定する。そうしなければ生き残れないからだ」 剣聖「・・・魔王も強くなっている。そう考えて、我々は事に当たるべきだ」 剣聖「なれば、新たな勇者にも更なる力が必要だ」 剣聖「そうだな・・・例えば、常に背中を任せられる仲間とかな」 行政官「一理ありますね」 大司教「・・・ふむ、確かに軽率な発言であったかもしれぬ。すまぬ」 大司教「先代勇者の用いた手段に、新たな勇者が準じる必要はない・・・儂は、先代勇者の成し得た奇跡に目がくらんでいたようじゃな」 剣聖「伝統や慣例に縛られるのは、教会の悪いところだ」 大司教「先ほどのは、儂個人の意見じゃ。教会は関係ないわい・・・」 行政官「剣聖殿は、あの若者を見てどう感じられました?」 行政官「私や大司教様は、戦いに関しては素人ですからね。是非、プロの御意見を承りたいのですが」 剣聖「・・・剣の冴えはなかなかのものだったな」 行政官「ほお」 剣聖「ただし、絶対的な強さを持っているわけではない・・・若いから今後の成長に期待は持てるのだが」 行政官「現時点で言えばどうです?先代勇者と比べて」 剣聖「遥かに劣るな」 行政官「なるほど」 続きを読む