転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1507634219/ 1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/10(火) 20:16:59.93 ID:9LtXgg2lO 勇者「この入り口の狭さでは武器は持って入れないか」 戦士「ここまで来て引き返すわけにはいかん。武具を外そう」 僧侶「仕方ありませんでしょうな」 勇者「では、いざ参る!!」 入室! 魔王「ようこそおいでやす」 勇者「貴様を倒す!」 魔王「威勢のよろしいことで。ここまできて急いで決着つけることもありまへん。まずは座りやせ」 勇者「うむ」 戦士「邪魔するぞ」 僧侶「よっこらせ」 魔王「今、お茶を立てますよって」 勇者「かたじけない」 戦士「おい勇者よ。これは完全に魔王のペースに呑まれてるぞ!危険だ」 勇者「確かに…。こちらからも攻勢に出るべきだな。よし僧侶!」 僧侶「心得た。さて魔王さん。我々も手ぶらで来るほど不躾ではない。まずはこの土産を検めて頂こうか」 魔王「これはこれは、虎屋の羊羹とは、あな嬉しや嬉しや」 勇者(よし!反応は上々だ!) 2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/10(火) 20:18:49.71 ID:9LtXgg2lO 戦士「やはり虎屋の羊羹で正解だった。贈り物で喜ばれるもの鉄板だからな!」 魔王「こんな高級なもの、私一人で頂くなんて身に余りますどすえ。丁度ええし、茶菓子で今皆さんで頂きましょか」 僧侶「くっ!流石は魔王。この搦め手を正攻法で返してくるか…!」 勇者「だが、あの羊羹は俺たちも実は食べたかったんだ。逆に考えよう。これはチャンスだと!」 戦士「そうだな。だが、この正座という体勢…なかなかにキツイ」 魔王「ああっ。足は崩して構わへんどす。どうか楽にしてくれやす」 戦士「では、お言葉に甘えて…よいしょっと」 勇者「情けないぞ戦士…!」 僧侶「おのれ魔王!こうも安々と戦士の正座を崩すとは…」 魔王「おっと、湯が沸きましたな。では淹れましょか」 勇者「ではその間、羊羹を切り分けておきましょう」 魔王「いえいえ、それには及びまへん。お客はんはドシッと構えといてくれやす。『ダークネスカッター』」指クイッ! シュパン シュパン シュパーン! 勇者「羊羹が一瞬で切り分けられた…!?」 僧侶「呪文詠唱もなしにこの威力とは……恐ろしい」 3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/10(火) 20:20:33.78 ID:9LtXgg2lO 魔王「今淹れますよってな」 トポ トポ トポー 勇者「ふーむ。抹茶の良い香りが漂ってくるな」 魔王「勇者さん一行が来られるて聞いて、宇治のほうにええ茶葉を買いに行かせましたきに」 僧侶「それはわざわざ」 戦士「お心遣い感謝する」 魔王「ええってことです。こんなん趣味みたいなもんですから」 勇者「でしょうね」 魔王「買い付け行かせたルシアドはんも、あのへん出身やから、帰りに田舎寄れてよかった言うてはったりましたよ」 勇者「ルシアドと言うと四天王のルシアドか」 戦士「魔王城10階で奴とは死闘を繰り広げたな」 僧侶「勇者の機転で弱点を突けたのが勝利の鍵でしたね」 勇者「でもわざわざ茶葉買いに行ってくれたのが彼だったなんて、悪いことしたなぁ」 魔王「ほなら、ルシアドはんの入院の土産に、余った羊羹包んで持ってきましょかね」 勇者「かたじけない」 続きを読む