転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1506490199/ 1 :オータ ◆aTPuZgTcsQ 2017/09/27(水) 14:29:59.48 ID:CC5AA7ZYO 僕はとてもつまらない大人になってしまった。 以前から、面白いやつだったかというと、全く正反対にいたような気がする。 今となっては、過去を思い出すことも難しく、未来を考えることも難しい。 ただ、君と最初に話したときのことは今も覚えている。 君に届くように、精一杯思い出すから、少しだけ僕に時間を下さい。 2 :オータ ◆aTPuZgTcsQ 2017/09/27(水) 14:35:23.90 ID:CC5AA7ZYO 「なんだか、子供みたいな期待をしていたのかもね」 言葉にはしなかったけれど、自分たちには似つかわしくないというように、君は笑った。 僕も一緒に笑ったことを覚えている。 君の笑顔はなんだか複雑で、苦笑いと照れ笑いの中間のようだった。 この世界に作り出されて、まだ六年しか経っていない時なのに、妙に冷めていたのかもしれない。 だから、学校の生活も僕たちだけ、窮屈に感じていたのかも。 それとも、君は、もうそんなことは覚えていないのだろうか。 僕はもう君に会いに行くことは出来ないから、知ることはないのだけど。 3 :オータ ◆aTPuZgTcsQ 2017/09/27(水) 14:37:09.74 ID:CC5AA7ZYO 僕は、君が何色が好きなのか、そんなことも分からない。 当時は知っていたのか、それも分からない。 もう、記憶を溜めておくことが出来なくなってしまったから。 でも、もし知っていたなら、君からちゃんと聞けていたのなら、良いのになと他人事のように思う。 今も君は、この世界のどこかで、笑って暮らしているのだろうか。 笑っていて欲しいと思う反面、下らないことも考える。 無理をして笑わなくてもいい場所を見つけているか、僕のことを覚えているかなんて…。 地球から遠く離れた、名前も分からない星からでは、君を思うことも許されないかもしれないけど。 ……僕は、やってはいけないことをしてしまった。 人間に自分たちを認めさせるなんて、そんなことは望むべきではなかった。 4 :オータ ◆aTPuZgTcsQ 2017/09/27(水) 14:38:22.90 ID:CC5AA7ZYO 僕が首謀者だったわけではない。 けれど、首謀者ではないからといって、罪は許されない。 もとから、人間達は、僕たちを認めてくれていたのだ。 暴れなくても、誰も傷つけなくても、家族として迎え入れてくれていた。 人格を持つことも、人間が許してくれたから、僕たちは自分で自分を認識することができる。 なのに、誰かが言い出したんだ。 それはロボット自身が持つ権利だと。 許されたからではないのだと。 続きを読む