転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1521890237/ 1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/03/24(土) 20:17:17.94 ID:bU2BHSY40 ・アイドルマスターシンデレラガールズの二次創作です。 2 : ◆cgcCmk1QIM 2018/03/24(土) 20:18:24.27 ID:bU2BHSY40 誰かを幸せにするために、アイドルを目指したい。 そう決めて東京に出てきて、私が初めて所属できた事務所は、とっても素敵なところでした。 決して、事務所が大きかったり、活動が活発だったりしたわけではありません。 小さくて、活動も始まったばかりで、有名なアイドルなんて、まだ一人もいなくて――― だけど、とても居心地のいい場所だったんです。 少し頼りなさげだけど、いつでも皆の事を考えていてくれるPさん。 まだ仕事は少ないけど、懸命にレッスンしてる、私と同じ年頃の子たち。 そして、仕事の合間を見てそんな私達のレッスンを見てくれる、年長組のアイドルさんたち。 事務所は小さくて、みんなまだ夢からは遠かったけど、みんなでいつか夢に届くようがんばろうねって励ましあう。 夜は寮で誰かの部屋に集まって、遅くまでアイドルの話をして。 休日は事務所でPさんの手作り料理をいただいたり、Pさんの運転でみんなでドライブに行ったり。 夜遅くまで仕事してるPさんに、みんな持ち回りで夜食を差し入れたり――― 本当に、楽しかった。 3 : ◆cgcCmk1QIM 2018/03/24(土) 20:18:58.07 ID:bU2BHSY40 今でも、度の強い眼鏡をはずして笑うPさんの顔がはっきりと思い出せます。 少し眉が寄ったような、どこか困ったような笑顔がなんだか自分に似ているような気がして、私はひそかにPさんの事を『お兄さんみたいだ』と思っていました。 短い間だったけど一緒に夢について語り合った、アイドルを目指す女の子達。 彼女たちが大好きでした。 ダンスや歌や、スタミナや――― みんなどこかに弱さを抱えていたりしたけれど、それでもみんな夢に向って真っ直ぐで。 みんなと夢を目指す日々が、ずっと続けばいいと思っていました。 ああ、だけど、だけど。 私はあのころ、みんなといると胸に刺さった棘がずきんと痛むのを、感じずにいられませんでした。 胸の棘。 私の、かくしごと。 私は、白菊ほたるは、事務所の人たちに自分の『不幸』を隠していたのです。 4 : ◆cgcCmk1QIM 2018/03/24(土) 20:19:37.02 ID:bU2BHSY40 故郷の鳥取で、私は人を不幸にする子だと言われてきました。 きっと、それは本当の事。 私の周りでは、いくつもの不幸が起きて、時には人を苦しめて。 そんな中、アイドルは私が見つけた希望でした。 アイドルを目指したい。 両親を説得して東京に飛び出して、ようやく拾ってもらえた、あの事務所。 私はそこで、自分の不幸、これまでの事を、言い出せなかったのです。 理由は―――ひどく独りよがりなものでした。 あの事務所に採用してもらえるまで、私はいくつもの事務所を巡りました。 そして、いつも結果は不採用。 笑顔が暗い、辛気臭い、目立たない――― 不幸がどうとか、それ以前の理由で。 私は、アイドルになる素質が無いのかもしれない。 何度も、そう思いました。 続きを読む