このような悲惨な状況になっていることを多くの人は知っているし、予想もできていたはずです。介護虐待は社会の必然です。 オススメ記事 介護施設などで働く介護職員による高齢者への虐待は2016年度に452件あり、前年度より44件(10・8%)増えた。調査を始めた06年度から10年連続の増加で、過去最多を更新した。うち25・9%は過去に虐待や苦情などで行政指導を受けていた施設や事業所で発生していた。厚生労働省が9日に発表した。 調査は高齢者虐待防止法に基づき、相談や通報を受けた自治体が虐待と判断した件数をまとめた。 介護職員は、特別養護老人ホームや有料老人ホーム、ホームヘルプ(訪問介護)の事業所などに勤める人たち。増加の背景には、サービス利用者が増えていることに加え、虐待への関心が高まって通報や相談件数が前年度比5・1%増の1723件と7年連続で増えたことがある。 虐待があった452件のうち、117件は過去に虐待や苦情の通報などがあり、指導を受けていた施設や事業所で起きていた。厚労省の担当者は「なぜ繰り返し起きたかは分析できていないが、市町村には指導した後も注視するよう伝える」としている。 被害者が特定されたのは前年度より92人(11・8%)増の870人。内訳は、暴力や身体拘束などの「身体的虐待」が570人(65・6%)で最も多く、侮辱するなど「心理的虐待」が239人(27・5%)、世話をしないなどの「介護等放棄」が235人(27%)で続いた。 家で暮らす高齢者が家族や親族に虐待されたケースは2・6%増の1万6384件で、4年連続で増えた。被害者は2・1%増の1万6770人で、死者は5人増えて25人になった。被害者のうち要介護認定を受けていたのは66・8%。このうち、日常生活に何らかの支障がある認知症の人が70・2%を占めた。また、被害者の50・9%は加害者と2人暮らしだった。(松川希実) via 朝日新聞デジタル 介護施設職員の高齢者虐待、過去最多 10年連続増加 高級店の接客は丁寧である まず一番最初に申し上げておきたいことがあります。それは高級店の接客は基本的に丁寧であって、高級でない店であればあるほどを店員が必ずしも丁寧に振る舞わなくてもよいということです。 なぜならば、そのような丁寧な接客というものもリソースを必要とするサービスの一環であって、そのサービスの対価が十分に払われていないのであればそれはリソース不足ということで、必ずしも接客が素晴らしいものにならないことも道理だからです。 リソース無き介護には無理がある そのように考えた時に、このような介護虐待というのはどのような風に見ることができるでしょうか。それは十分に丁寧なサービスをすることができないほどにリソースが少ない人達による介護が、必然的に精神的時間的肉体的ストレスに呼応する形で虐待を生み出してしまうということです。 これはまず端的に家庭内虐待ということを考えてもすぐにわかります。そもそも24時間家に被介護者がいるという生活は、どのような言葉を使うのが適切かわかりませんが、極めてストレスフルなものになるはずです。 人の世話をする、下の世話も含めて生活の全てを負担するということは並大抵のことではありません。そのストレスがあるからこそ、多くの人が老人ホームなどの介護施設にその人を預けるのです。 しかし家庭内虐待をする人間たちがどのような経済状況かを想像すると、当然ながら彼らにはそのような経済的余裕がないということも容易に想像がつきます。彼らは時間的にも肉体的にも金銭的にも余裕がない状態で24時間のケアを行わなくてはならず、その歪みは必ず弱者に-つまりこの場合で言うと被介護者に-行くわけです。 また施設の虐待においても同様です。これはおそらく高級なところであればあるほど少なくなってくるでしょう。何故ならばリソースが十分にあって丁寧な対応ができるからです。給料も高ければ安易に辞めることもありません。 虐待が起きるような施設というのはスタッフが少なく被介護者が多く全般的にリソースが足りていないからこそ、ストレスが発生してしまうのです。貧しければ貧しいほど丁寧なことができなくなっていくし、丁寧なことをしてもらえなくなっていく。 このような歪みは社会全体の制度の問題でもありますそして、常にリソースが少ない人間が被害を被るようになっているのです。