国際関係におけるロシアの立ち位置というのはいつも明確です。強い軍事力を有し、いつでも戦いに打って出る事のできる強国というイメージを常に維持しているからです。 オススメ記事 <3月18日に大統領選を控え、ますます強い指導者を演じるプーチンにとって、頼りは核兵器だけ?> ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、敵から核攻撃を受ければ「たとえ世界の終わりになろうと」迷わず核攻撃で報復する、と警告した。 3月18日の大統領選を前に、プーチンはロシア政府寄りのテレビ番組の司会者とのインタビューに応じ、歯に衣着せぬ発言がインターネットで公開された。 有力な対抗馬がおらず、プーチン4選は確実とされるが、近年ロシアの投票率は過去最低に落ち込んでいる。それを懸念してか彼は最近、外国の攻撃からロシアを守る最後の砦は自分しかいない、と言わんばかりの強硬な発言を連発し、メディアの注目を集めている。「強いロシア」を実現できる「強い大統領」が売りだ。 ロシアがない世界は無用 核戦争について尋ねられたプーチンは、もしロシアの防衛システムが敵の核ミサイル発射を察知すれば核兵器で報復する、と言った。 「相互攻撃というものだ」と、プーチンは2時間のドキュメンタリー番組『世界秩序2018』で語った。「誰かがロシアを破滅させようと決断したら、われわれには報復する権利がある」 核攻撃をすれば世界が終わるとする見方に対してはこう答えた。「そう、世界を巻き込む大惨事になるだろう。だがロシアが存在しない世界など、そもそも無用じゃないか」 プーチンが大統領選で4選を果たし、さらに6年の任期を全うすれば、最高指導者としての在任期間は首相時代を含めて24年になる。旧ソ連の独裁者ヨシフ・スターリン書記長以来の長期政権になる。 3月1日の年次教書演説では、会場を初めてクレムリン(大統領府)の外にある近代的な展示場に移し、大型スクリーンに「無敵」の核兵器を次々に映し出すパフォーマンスをした。 via NEWSWEEK プーチン過激化「世界が破滅しても核兵器で報復する」 外交はシグナリングが一番大事 相変わらずロシアのプーチン節が炸裂という感じですが、極めて明快な外交主張というのは実は国際関係にとって非常に重要なものです。一見攻撃的で却って国際社会を混乱させてしまうように思う方もいるかもしれませんが、むしろ逆です。 このように自分が何かをされた時にはこのような対応をするということをあらゆる方向に明確に示しておくことで、自分の行動を相手に予測させ、相手の行動を調整させることができるのです。もしこのようなことを一切言わずに何らかのアクションに対していきなり核爆弾を使うなどの行為をした場合、相手は自分がやった行為がロシアにどんな行動をとらせるのかわからないがために「やらかしてしまった」ということがありえるわけです。 これは裏を返せば、自分は何をされたら怒る人間だということをきちんと周りに示しておくことで、自分が怒らなくてはならないような場面を最初から少なくすることに似ています。普段の人間関係においても適用できるような考え方です。 キャラクターの立った外交 しかしもちろんこれを人間関係で行うと摩擦が生じてしまうのも想像がつきます。このようなこと言うことができる人間というのは、周りのことを考えずに自分ではなくて相手が行動を変えろと言っているからです。 しかしそういう意味でもロシアは国際関係におけるキャラクターをしっかりと作っており、まさに武力を背景として相手の行動を変えるリアルポリティクスの国家として非常に有名です。 そしてその有名さゆえに、周りもロシアに対してどのように行動すればいいのかわかるという意味で、プーチン節のかなりしっかりと効いたロシアの国際関係の姿勢として今まで通り明快なメッセージを放ち続けることが出来ているわけですね。