あまりにも酷すぎて、ブラックのお手本かのような現状に驚きます。ルールを守れていないどころか、ルールを守っているかどうかを判断するための情報すら持っていないなんて…。 オススメ記事 出退勤の管理方法:帰りは「確認しない」 出勤/退勤の把握方法 ※「第3回 私学教職員の勤務時間管理に関するアンケート調査報告書」より筆者が作図 出勤の管理方法において、突出して回答が多かったのは、「出勤簿に押印(出勤時刻の記入なし)」(62.7%)である。出勤時刻は記入されないのであるから、この「押印」という営みは、たんに「学校にいます」ということ以上の意味をもたない。 また退勤の把握方法において最多であったのは、「確認しない」(32.5%)である。おおよそ3校に1校では、教員がいつ帰路についたかがわからないのだ。次に多いのが、出勤の場合と同じ、「出勤簿に押印(退勤時刻の記入なし)」(20.2%)である。 他方で、「タイムカード・ICカード等」や「Web勤怠管理システム」の機器による客観的な把握が導入されている高校は、出退勤いずれの場合も約2割にとどまっている。 以上は、公立校における出退勤把握の方法と酷似している。公立の小中学校のデータではあるものの、出勤の確認方法としては「報告や点呼、目視など」と「出勤簿への押印」が、退勤の確認方法としては「報告や点呼、目視など」が突出して多い(拙稿「残業時間数がわからない 教員の出退勤管理 押印や目視で」)。私立か公立かを問わず、残業時間を含む労働時間の確実な管理は、ほとんどおこなわれていないと言える。 ■残業代の取り扱い:月給4%の定額支給 私立高校における「時間外手当」の有無 ※「第3回 私学教職員の勤務時間管理に関するアンケート調査報告書」より筆者が作図 おおざっぱな労務管理は、残業代の取り扱いにもあらわれている。 同調査を見てみると、時間外労働分の割増賃金を支払うかたちの「1. 法定の時間外手当を支給している」は、12.1%のみである。多かった回答は、「3. 教職調整額を既払残業代とみなし、その他は一切支給していない」(24.2%)と「5. 教職調整額+『4』(=定額の業務手当)を支給している」(29.4%)である。 前者について、「教職調整額」とは、私立校の場合は「みなし残業代」に当たるもので、あらかじめ定額の残業代が給与に付加されている。同調査によると、具体的な額としては、給料月額の4%が多数派(65.7%)である[注2]。 後者は、みなし残業代にくわえて、時間外の部活動や会議などの際に定額の特別な手当を支給するという方法である。これが、調査対象校のなかではもっとも多い形態である。教員給与のあり方について一度でも調べたことがある読者であれば、すぐにこれが公立校の時間外労働の扱いと類似していることに気づくだろう。 公立校の教員は、全国一律に「教職調整額」という名称で月給の4%分を受け取っている(拙稿「残業代ゼロ 教員の長時間労働を生む法制度」)。そして、ときに土日の部活動指導においては、特別に定額の手当(数千円程度)をもらうこともある。ただし、どれほど終業時刻を超えて働いたとしても、その分の残業代が支払われることはない。 私立校も公立校も、残業時間を厳密に数えるのではなく、おおむね4%分を与えてあとは時間管理しないという状況である。出退勤の管理方法と同じように、残業代の取り扱いにおいても、労務管理の考えが希薄である。 via: 私立高校 2割に労基署の指導・勧告 最新調査から私立校教員の働き方に迫る(内田良) (1/2) もはや気持ち悪い 学校がブラックであるということはもはや周知の事実ですが、ここまでだとは思っていませんでした。法律を守っているかどうかどころの騒ぎではなくて、法律を守っているかどうかを判断するための情報収集すらしていないというのですから、全く守る気がないとしか言いようがありません。 流石にこれには驚きですし、今働いている多くの方々に心からの同情の念を禁じ得ることができません。しかもタチが悪いことに、多くの管理職のような先生というのはこのような環境に過剰に適応している人達ですから、長時間労働をしない人間をやる気がないというふうに断じがちですが、それが一体どれほどの人間の精神と肉体を病ませているのかと思うと心がおかしくなりそうです。 今、どんどん日本の学校の先生の仕事というのは増え続け、世界でもトップクラスの労働時間を持ちながら、同時に授業準備や授業の時間を当てる時間が世界で最も少ない割合だと言われています。 要するに授業以外のよくわからない作業を大量にやらされていて、授業準備をする時間もなく、授業の質を高めることもできないにもかかわらず、聖職者としての任務を果たせと言われているのです。 誰も正せないブラック環境 このような状況は明らかにおかしく、どう考えても直すべき対象なのですが、中にいる人たちがそれに慣れてしまっていたり、あるいはそれをおかしいと思うほどの心理的・時間的余裕がないがために非常に悲しいマイナスなスパイラルに陥ってしまっているのです。 学校の先生というのは本来的には授業をするというところに大きな任務がありますし、また人の人生に関わるという点においても、自らの人生をよりよく生きることは重要なのにも関わらず、そのような時間が与えられずにただ毎日の授業をこなしているだけなのだとすれば、それは先生にとってはもちろん、授業を受けたり教えを乞うている生徒にとってもいいことばかりではないでしょう。 例えばブラック部活なども大きな問題になっていますが、そのスポーツをやったことがない人間が顧問にならざるを得ないといった状況もあるようです。部活というのはもっと小規模なものにして、真剣にスポーツに打ち込みたい人はクラブサッカーなどに入るのが望ましいと私は考えるのですが皆さんはいかがでしょう。 そのスポーツをやったわけでもなければ、その指導のためのトレーニングを受けたわけでもないのに、土日が潰され授業準備もできずまた家庭の仕事や家庭の営みも行うことができないのとすれば、学校の先生というのはまさに現代の奴隷だと言っても良いのではないでしょうか。私はこのような現状に強い不快感を持っています。