転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1467299284/ 1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/01(金) 00:08:04.50 ID:gbwV73Yk0 悪い夢を見た。 アイドルを辞める夢だ。 そして目が覚めた。 壁の時計は、まだ早朝とも呼べない時間を指している。 2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/01(金) 00:08:37.03 ID:gbwV73Yk0 “夜に見る夢の良し悪しは、前日の運勢と当日の運勢、どっちで決まるのかな” なんてくだらないことを考えながら、また瞼を閉じる。 人間は、自分の想定の外側にある物事に対して驚く生き物だ。 『アイドルを辞める』という内容にもかかわらず、また、それを悪い夢だとは認識しつつも、眠りに向かう彼女 ――藤居朋―― は思いの外、落ち着いていた。 まだ、“アイドル”というモノへの実感が薄いのかもしれない。 3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/01(金) 00:09:43.68 ID:gbwV73Yk0 「ふわぁぁ~……」 「……って! も、もうこんな時間!? い、急がなきゃ!」ピッ 想定よりも遅く起きてしまったらしい彼女が、ベッドから跳ね上がって最初に手に取ったのはテレビのリモコン。 「まあ占いは見れそうだ……し……」 朝の星座占いを見ることを日課としている彼女だが、残念ながら、自身の星座を司るカニのキュートなキャラクターは、『12位』という文字の横でうなだれていた。 「はぁぁ~……」 欠伸に寝坊にため息に、なんとも忙しい朝となってしまった。 明らかに暗い顔で、部屋を後にする。 4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/01(金) 00:10:37.24 ID:gbwV73Yk0 「お、おはよー……」 「あ、朋、おはよ……って、なんか疲れてる?」 挨拶と同時に事務所のドアを開けた朋。そんな彼女に返答をしたのは、この日、レッスンを共にする予定の杉坂海だ。 「聞いてよ~、それがさ? 今朝、寝坊しちゃって!」 「ふ~ん? 夜更かしでもした?」 「そういうわけじゃないんだけどな~? しかも、朝の占い、蟹座が最下位だったの! もう最悪よ!」 「最悪って……ウチも蟹座なんだけど」 「あれ? そうだっけ?」 「ま、ウチは占いとか気にしないタイプだし、なんでもいいけどね。早くしないとレッスン遅れるよ?」 「あ、ごめんごめん! すぐ支度する!」 続きを読む