いまもまだ身分によって特定の仕事に就けない人たちがいるというのは本当に恐ろしく信じがたいことですが、それは現実にあります。それでも社会は前進していると思えるニュースですね。 オススメ記事 ❮ 1/2 ❯ パキスタン上院選で、カースト最下層出身の女性として初めて議員に選出されたクリシュナ・クマリ・コーリ氏(2018年3月3日撮影)。(c)AFP 【3月5日 AFP】パキスタンで3日、上院選挙が行われ、ヒンズー教に基づくカースト(身分制度)の最下層「ダリット(Dalit)」出身で初となる女性議員が選出された。 今回初当選したのは、野党・パキスタン人民党(PPP)候補のクリシュナ・クマリ・コーリ(Krishna Kumari Kohli)氏。ダリットの女性が異例の快挙を成し遂げたことで国内には歓迎ムードが広がり、ソーシャルメディア上でも好意的な反応が目立った。 コーリ氏は翌4日、AFPの取材に対し「誇らしく思う。指名してくれたPPPに感謝する」と述べた。 ある人権擁護活動家は、「コーリ氏を指名したPPPをたたえる…真の民主主義を目指す上で、わが国の議会にはあらゆる宗教や身分、性別からの代表者が必要だ」とツイッター(Twitter)に投稿した。 人口2億人のパキスタンで約2%を占めるヒンズー教徒は昔から、経済・社会面で差別の対象となってきている。(c)AFP via: パキスタン上院選、カースト最下層出身の女性議員が初誕生 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News 未だある差別 何とも素晴らしいニュースが飛び込んできました。このようなことがニュースになること自体、本来であれば喜ばしいことではないのかもしれませんが、それでも確かに国際社会がまた一歩人権という概念に近づいてきたと言えるのではないでしょうか。 生まれや育ちによって特定の職業に就くことができないということは、今や日本ではほとんどありえないようなことです。中卒であっても総理大臣になることができるというのは多くの人にとって希望や開かれた社会をイメージさせるのではないでしょうか。 弁護士は医者などを一部の仕事についてはもちろんプロフェッショナルな教育を受けなくてはならないものの、ほとんどの職業に関してお前は男だからとかお前は女だからとかお前は何何人だからという理由で職業選択が阻まれることはありません。 そのようなことは決して昔から当たり前のことだったのではありません。日本もまた普通選挙という名の元、男性だけが投票することができる時代が確かにあったのですから。それと同じようにこのような労働環境の変化というのも小さなものではあるかもしれませんが非常に大きな一歩になっているんだと思います。 誰もそれが嬉しいわけじゃない アジアの諸外国は未だにこのような差別が存在しており、カーストやジャーティといったものが人間の生活を極めて強く制限しています。よく言われることですがインドで IT が強い理由というのは、このような職業差別というものとITが関係ないから、つまり新しい産業だからだとも言われています。 そこに住んでる人たちがこのような制度に納得しているわけではなく、できることならばより自由に自分たちの生き方を決めたいと思っているということが、そこから容易に見て取ることができます。 また、たとえ具体的な法律による差別はなくとも、周りにロールモデルがいないためにそのような道を目指すことを諦めてしまう人も多いでしょう。どうせ自分のような階層出身では政治家などにはなれないと考え、そもそもそこを目指すことすらしないため、その階層出身の政治家が出ないということがあるはずです。 そのような点においても、今回のニュースは素晴らしいロールモデルです。これからどんどんこの階層出身の政治家も増えていくだろうと思いますし、それは国家全体を代表する議会が進んで行くべき理想の姿だと思います。