転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1488894075/ 1 : ◆nRrk0j/cII 2017/03/07(火) 22:41:15.69 ID:fQqIpxIU0 「全部…壊れていきますね」 ありとあらゆる構造物が崩壊し、 世界の中心に飲み込まれていくのをぼんやり眺めて彼女が言う。 たぶん、この世界で生き残っているのは僕と彼女だけだろう。 2 : ◆nRrk0j/cII 2017/03/07(火) 22:42:13.87 ID:fQqIpxIUo 「壊れていくのって綺麗じゃない?」 「それ、私も言おうと思ってたんです」 今までに見たことのない最高の笑顔で笑う。 「よかった。じゃあさ、最後まで一緒に見ない?」 「それってもしかして告白ですか?」 小悪魔みたいな悪い顔をしている。 「うーん…どっちかと言えばプロポーズかな」 精一杯、冷静を装うのに苦労した。 「わぁ…それ最高です」 「指輪も何もないけどね」 彼女の方を向いて右手を広げて見せる。 3 : ◆nRrk0j/cII 2017/03/07(火) 22:43:09.58 ID:fQqIpxIUo 「じゃあ…示してください」 「どうやって?」 「分かっているのに…意地悪…」 「あはは、ごめんごめん」 正面に立つ彼女の左手を右手で包み込んだ。 「えへ…えへへ…」 「あはは…これ、なんだか恥ずかしいね」 手を繋ぐだけでこんなに恥ずかしいなんて、いつぶりだろうか。 「誰に対してですか?誰もいないのに」 「君に…かな」 「どうして?」 「そりゃ…あんなことを言った後だし…」 「えへへ、ごめんなさい」 彼女は舌をちょっとだけ見せた。 「あぁ…結局、最後まで君に一本取られっぱなしだったなぁ」 「私たちらしいってことにしておきましょう?」 「そうだね……」 「えぇ…」 崩壊の前線を一瞥する。 「そろそろ…かな」 「みたいですね…」 続きを読む