転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1519256299/ 1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/22(木) 08:38:19.37 ID:gJQnAjCL0 *地の文形式です。 *みくりーな? 2/22はネコの日、及び前川みくの誕生日 2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/22(木) 08:38:57.61 ID:gJQnAjCL0 開演10分前、私は楽屋を出た。扉を開いて舞台袖に入ると熱と湿気が私を包んで、今が冬であることを忘れそうになった。 いつもウサミミの彼女も今日だけはネコミミで、すでにマイクを持ってスタンバイしていた。彼女は私を見つけて、笑顔を見せ、私に「来て」とアイコンタクトする。何だろ、と思って近づくと、彼女は手を軽く上げた。 そういうことか。私も手を上げ、ハイタッチした。もちろん、ステージの向こうで待つお客さんたちには聴こえないくらい音を小さくした。彼女は真っ暗な奈落へ向かっていく。開演5分前。 3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/22(木) 08:39:49.75 ID:gJQnAjCL0 ライブは、一本のスポットライトがステージ中央に当たるところから始まった。それはまだ、誰も照らさない。「アッ、アレは誰なんだー」「誰だー」「誰なんだー」と、会場から声が上がる。 「それは……ナナでーす!」 せりあがってスポットライトを浴びる菜々ちゃんに、会場は取ってつけたように一瞬盛り下がり、そして一気に盛り上がった。一面ピンクの光で満たされる。 「ちょ、引かないでくださーい! ……えー、オホン。本日2月22日は何の日ですかー!?」 菜々ちゃんのネコミミを指さしながらのフリに、お客さんたちは「猫の日―!」と答えた。 「そしてー!?」 「みくにゃんの誕生日―!」 わかっていたことだけど、私の胸のあたりがポッと温かくなる心地がした。多くの人に祝ってもらえるのはやっぱり嬉しい。 菜々ちゃんが腕を大きく振って、こちらの舞台袖をさした。 ボルテージは最高潮だった。いや、これからもっと高められる! 「それでは出てきてもらいましょう! 前川みくちゃん!!」 4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/22(木) 08:40:33.42 ID:gJQnAjCL0 菜々ちゃんが言い終わるとステージは暗転した。お客さんのざわつく声をよそに、私は袖からステージ真ん中へ、菜々ちゃんの隣へ駆け寄る。暗闇の中で、菜々ちゃんがこっそり笑った気がした。音楽がかかると同時に、ライトが私たちを照らした。眩しさで周りが一瞬ほとんど見えなくなる。割れんばかりの歓声が上がった。 曲は、『おねだりShall We~?』。ピンク色の光の海が眼下に広がり、スポットライトは真夏の太陽のように私を焦がした。 「子猫ちゃんたちーっ、今日はみくの誕生日ライブに来てくれてありがとにゃ! このままどんどん行っくよー!!」 出だしに煽って会場はさらに盛り上がった。体がポカポカと温かくて、テンションもいつもより高い。煽り方の上手い、ロックな彼女のおかげで、一年前に比べたらずいぶん良い煽りになったかもね、と私は思った。 続きを読む