転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1463231919/ 1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/14(土) 22:18:39.39 ID:hyNfbz4e0 旅人「……」ザッ 旅人(暗い暗い森の中、手にした灯りだけを頼りに、僕は一人歩く) 旅人(灯りにしているのは、小さな瓶だ。内部の土に混ざった色とりどりの鉱石は、それ自体が魔力を宿している) 旅人(そして、その中には、蛍光色に発光するキノコが生えている) 旅人(「月蛍茸」と呼ばれるキノコだ。魔力に反応して、強く光る性質を持つ) 旅人(時刻は……深夜だろうか。満月の月明かりが仄かに森を照らしている。どこからか梟の鳴き声も聞こえる) 旅人(それなりに歩いた。羽織っている服は、汗ですこし湿ってきている。足も随分と疲労が蓄積しているようだ) 旅人(僕は何故この場所に居るんだろう。記憶が定かではない) 旅人(しかし、この先に、どうしても会いたい人がいる……そんな気がするんだ) 2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/05/14(土) 22:27:10.00 ID:hyNfbz4e0 旅人「!」 旅人「……小屋?」 旅人(一つの小屋が目に付いた。御世辞にも綺麗とは思えないが、明かりがついている) 旅人(……怪しい……しかし、少し休みたいと思っていたところだ) 旅人(僕は意を決してドアを叩いた) 男「……珍しい、人がここに来るなんてな」 旅人「旅の者です。少し脚を休ませたいのですが……構いませんか?」 男「ああ……ほら、薬草を調合した茶だ。苦ェが効くぞ。干し肉も喰いたきゃ喰え」 旅人「ありがとうございます」 旅人(……毒は入っていないようだ。いただこう) 旅人(ぐっ……すこぶる苦いっ、肉も……なんだこれは、一日放置したパンのようだ……と言うより、肉の方は味がしない?) 男「へえ、マズいか。そりゃ良いね、生身が機能してる証拠だ」 旅人「……?」 男「何故ここに?」 旅人「分かりません……ですが、この先に居る誰かに会いに行く、という事を覚えています」 男「だろうな」 旅人「あなたは……どうしてここに?」 男「俺ァとある夜の街に居たんだがな」 男「まぁ……そこから色々あってな。探し物をしてたんだが、途中で諦めちまって、身体が此処に留まっちまった」 旅人「?」 男「……もう行きな、「お前は」まだ間に合うぜ、日の出まで時間がある」 旅人「はい……ありがとうございました」 男「……これを持って行け、俺には適合しなかったが、役に立つかもしれない。じゃあな」 続きを読む