ここ数ヶ月、セクハラを告発する運動が世界中で相次いでいます。ハリウッド映画でのセクハラ、性的暴力などがやり玉に挙げられる前からフランスでも同様の動きがありました。しかし、なんでもかんでも告発してよいのか? 愛の国フランスで議論が過熱しています。 オススメ記事 【パリ=三井美奈】フランスで女優カトリーヌ・ドヌーブさん(74)や女性作家ら100人が10日付ルモンド紙に連名で寄稿し、「男性嫌悪をあおる女権運動は認めない」と訴え、セクハラ告発キャンペーンの行き過ぎに警鐘を鳴らした。 寄稿は、米国を中心にソーシャルメディアで広がるセクハラ被害の告発運動「#MeToo(私も)」に対抗したもの。「暴行は犯罪だが、しつこく言い寄ることは性犯罪ではない」としたうえで、「膝を触ったり、軽くキスしようとしたりしただけで男性は制裁され、失職を迫られている」と現状を嘆いた。セクハラ告発の行き過ぎは「女性を保護が必要な子供におとしめること」と評した。 米国では昨年秋、ハリウッドの大物映画プロデューサー、ハーベイ・ワインスタイン氏が女優やモデルにセクハラで告発された後、加害者と名指しされた芸能人の契約打ち切りや、議員の辞職が続出。告発運動はフランスを含む欧州や日本にも広がっている。 via: 「男が言い寄るのは性犯罪ではない」セクハラ告発運動の行き過ぎに警鐘 女優カトリーヌ・ドヌーブらフランス人女性100人が連名寄稿(1/2ページ) – 産経ニュース 口説く文化フランス フランスといえば愛の国、と言われるほど男女関係における基本的なスタンスが日本とは大きく異なります。大統領が不倫していても政治的な問題には全くなりませんし、芸術家が性的に奔放であってもむしろそれを歓迎するような空気があります。 男性が女性を口説くのは普通のことですし、むしろそれをしないと失礼にあたると冗談ではなく本当に考えています。ちなみにブラジルでは自分の外見を褒めない男性に対してかなりネガティブな印象を持つほど、外見について褒めたり言及することが当然と見られていたりもします。国によって、全く常識が異なるわけですね。 そんな文化を持ったフランスですから、セクハラという概念にはかなり根強い抵抗があるようです。特に今回は男性ではなくて女性らによるカウンタームーブということで、これもまた日本ではあまりないような動きだと思いますね。「こんなに何でもかんでもセクハラと言っていたら、女性はただ男性に何かをされる受動的な存在とみなされてしまう。女性だって恋愛を楽しめるし、ロマンスは大事だ」というわけです。 セクハラと性暴力の違い ここで重要なのは、やはりセクハラと性暴力の違いを押し出しているところでしょう。無理やりは絶対にダメ。ただし、膝を軽く触ったりキスしようとすることまでセクハラとするのはおかしい、と彼女らは主張しています。しかし、私個人としては共感出来る所がある反面それだけでは済まない部分もあるように感じています。 ハラスメントの本質は「権力を背景にしている」ことにあります。例えば上司と部下の関係など、断ったら後でどうなるかわからない人間に誘われる恐怖というのは尋常ではありません。もしも断ったら仕事が無くなるかもしれない、給料が下がるかもしれないと考えれば仕方なく受け入れることだって当然あるでしょう。 性暴力とそうでないものの違いが合意にあるのだとしたら、権力関係を前提にした合意を性暴力とはしないのでしょう。しかし、権力関係が介在しているところにある合意にどのくらい意味があるでしょうか。仕事がなくなったら困るから受け入れよう、という性行為は果たして性暴力ではないのでしょうか。 性暴力、セクハラ、口説く、迷惑行為、など最近はとにかく生きづらくなったと思う方も少なくないでしょうが、やはり性的なことというのは個人的なことであり、それ故に法律などでの規制にはなじまないようにも思いますね…本当に難しい。