転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1516120863/ 1 : ◆pVGon0rT7g 2018/01/17(水) 01:41:03.72 ID:VkhZ7Guoo ― 1 ― 王国の騎士団領に、雄々しき号令が響き渡る。 「これより出陣する! 出陣の儀を執り行うので、ただちに広場に集結するように!」 声の主は騎士団を率いる騎士団長。 屈強な男たちが鈍い銀色の甲冑を身に付け、騎士団領中央にある広場に整列する。 数百の騎士が一堂に会する光景は、一言でいうなら“壮観”である。 2 : ◆pVGon0rT7g 2018/01/17(水) 01:43:10.99 ID:VkhZ7Guoo この王国での≪騎士≫は身分というよりも、兵士の中のエリートという意味合いが強い。 一般兵の中から実力や実績を認められた者が、国王による騎士叙勲を経て、騎士となれるのだ。 騎士となった者は騎士団領に駐屯し、厳しい訓練をこなし、非常時には王命により出陣する。 ようするに、彼らは精鋭部隊である。 世が世なら、敵国の軍隊を真っ向から受け止める使命を果たさねばならない。 しかし、他国との戦争の機会などめっきり少なくなった今の世では、彼らの役目は治安維持が主である。 彼らの相手はもっぱら山賊や盗賊だ。 今日これから相手にする敵も一山賊団に過ぎない。 とはいえ、良質な武具で武装したり、一般兵以上の戦闘力を備えた賊も少なくなく、 決してあなどってはならない相手である。 4 : ◆pVGon0rT7g 2018/01/17(水) 01:47:40.44 ID:VkhZ7Guoo 近年、騎士団が賊に後れを取ったという記録は残っていない。 平和ボケしてもおかしくない状況下で、騎士団が精強さを保っているのは、 ひとえに現騎士団長の手腕によるものであろう。 しかし、外観も実力も誰もが認める猛者揃いである彼らであるが、 心の中までそうかというと、果たして……。 広場に集まった騎士のうち、誰かがいった。 「あれ? あいつがいないぞ」 続きを読む