転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1496327921/ 1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 23:38:41.64 ID:e7/Uid6j0 その日、珍しく郵便受けを覗いた。 理由はなんだったか。新しいCMの資料が届くとか、そんなことだったと思う。 今となってはそんなことはささいな話だ。積み重なったDMの中に、俺はそれを発見してしまった。 北沢志保……かつての担当アイドルからの結婚式の招待状ってやつを。 2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 23:39:04.73 ID:e7/Uid6j0 「なんでお前振袖なの」 披露宴参加者用の控え室を探しながら、隣を歩く妻に何気なく尋ねる。 鮮やかに結い上げた茶色の髪に、黒の振袖が恐ろしく似合う俺の妻。 彼女の名前は所恵美。 元々彼女は俺の担当アイドルで、諸事情でアイドルを引退した後に偶然再開し……様々な紆余曲折を経て今に至っている。 「え? いやだって、アタシがドレス着たら志保を食っちゃうでしょ」 不敵な笑みでそんなことを恵美がいう。 この感じ、アイドルだった頃と何も変わってない。むしろアイドル活動で自信が増えてさらにグイグイ行くようになっているような気がする。 「は? 誰が?」 「アタシが」 「誰を?」 「志保を」 「ワロス」 「はあ!?」 なのでこうやって牽制しておく。出ないといつまでもこんな調子だからだ。まあそんなところも可愛いんだけど。 3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/01(木) 23:39:36.73 ID:e7/Uid6j0 「式場でなにやってるんですか。2人とも」 俺が恵美を弄っていると、背中からふいにそんな咎めの言葉を投げかけられた。 2人して振り返る。そこにいたのは。 「控え室はこっちですよ……もう。この格好で出歩くの、本当はあまり良くないんですからね」 純白のウエディングドレスに身を包む、北沢志保その人だった。 「志……保……?」 あまりにも唐突なことに、恵美の口から驚きの声が漏れる。 俺? 俺は恵美より驚いてた。俗に言う開いた口が塞がらないというやつだ。 志保は。ウエディングドレスを着た北沢志保は、それくらい美しかった。 続きを読む