転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1513269054/ 1 : ◆foQczOBlAI 2017/12/15(金) 01:30:55.21 ID:x1T0rpkl0 知らず知らずの内に、と言うべきだろうか。 いい人なのはわかってる、私のために尽力してくれて、表でも裏でも私を支えてくれる大切な人。 だけど、ほんの少しだけだけど、不義理なことに私はちひろさんが苦手だった。 苦手な先生な前だと背筋がピンとしてしまうことがあるだろう。 かくいう私も学校に苦手な先生が一人いてな、私がロボを披露する度に怒られるのだ。ロボぐらい中学生なら誰でも持ってるだろ。 え、ない?そうなのか……。まあ、Pは私に激甘なので事務所で私を説教する役目なのがちひろさんなのだ。 Pが説教されて、私が巻き込まれる。それが事務所のお決まりの風景にだった。大概は私が作ったロボが原因なのだが。 そういうわけでちひろさんの前だと背筋がピンと伸びてしまう。 2 : ◆foQczOBlAI 2017/12/15(金) 01:32:47.83 ID:x1T0rpkl0 そんないつも迷惑をかけている私だが今回ばかりはいいことをしようと考えた。巡り合わせのいいことにそろそろちひろさんの誕生日。 日頃の感謝を込めて、彼女に何かしらのプレゼントを贈ろう。決して賄賂などではない。 ううむ……、とは言ったものもなにを贈ればいいのかわからない。 そういえばPは山吹色のお菓子を贈るといっていたな。曰く、ちひろさんの大好物らしい。 相手の好みを把握しているとは流石はPだ。 どのようなお菓子か知らないがやっぱりちひろさんも女の人なので甘いものが好きなのだろう。少し親近感が沸く。 甘いもの、か。クレープロボ3号を作って贈るべきか。いや、事務所にもう2号がいるのだったな。 いいアイディアが浮かばないまま歩いていたらいつの間にか事務所についてしまった。 仕方がない、後でPにも相談してみるかな。なにかしらアドバイスはくれるかもしれない。 3 : ◆foQczOBlAI 2017/12/15(金) 01:33:58.97 ID:x1T0rpkl0 あ、ちひろさんが事務所前の掃除をしている。 「こんにちは」 「あ、こんにちは。晶葉ちゃん」 こちらに気がついたちひろさんが作業の手を止めて挨拶をしてくれる。 Pが前にちひろさんが毎日笑顔で迎えてくれるから仕事を頑張れると言っていたな。なるほど、これはなかなかに清々しい気分になるな。 シャコ、シャコと聞きなれた音を立てながら箒を動かすさまは見慣れた風景の一部となっていたがそういえば大変そうだな。 「そうか、これだ!」 「なにかいいアイディアでも浮かびました?」 突然、奇声を上げた私をちひろさんはいつものことだと優しい目で見守る。 「ああ、素晴らしいアイディアだ!」 「くれぐれも周りに迷惑をかけないようにしてくださいね」 釘を刺された。まあそうだろう、信用は多分ない。いや、逆方向の信用、なにかやらかすのではないかという信用なら多分ある。 続きを読む