転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1506069583/ 1 : ◆CItYBDS.l2 2017/09/22(金) 17:39:43.76 ID:01+6FuFio 魔王♂「ふふふ、様式美に則るならば『世界の半分を』と言いたいところだがな」 勇者♂「世界の半分だと!?そんなものになびく俺ではない!」 魔王「いや『世界の半分』については、ほんの軽口だ。本気にしないでくれ」 僧侶♀「初めて言葉の通じる魔族に出会ったと思ったら、さっそく私たちを籠絡するつもりですか!」 僧侶「言葉さえ通じれば、分かり合える・・・そう信じていた、私の考えは甘かったのですね!」 戦士♂「ところで、『ゆうきゅう』ってなんだ?魔法使い」 魔法使い♀「わ、わたしに聞かないでよ!」 僧侶「意味は分かりませんが、なんと魅惑的な響きなのでしょうか・・・」 勇者「ゆうきゅう・・・そうかっ!」 勇者「魔王を打ち滅ぼさんがために、世界を旅してきた勇者パーティーである俺たちに」 勇者「与えられるものは、悠久の時・・・」 勇者「すなわち『死』である・・・そう言いたいんだな!魔王よ!」 魔王「いや違う、そうじゃない」 2 : ◆CItYBDS.l2 2017/09/22(金) 17:40:20.39 ID:01+6FuFio 魔王「すまぬ・・・側近、説明をしてやってくれ」 側近♀「仰せのままに、魔王様」 側近「一言で申しましょう、有給休暇とは給料のもらえる休暇の事です」 戦士「うーん!わからん!」 魔王「もちっと、詳しく説明してやれ」 側近「つまりですね、一日仕事を休んだとしても、一日分の給料を差し上げますよってことです」 魔法使い「魔王軍に入ったら、その有給がもらえるってこと?」 僧侶「ま、魔法使いさん!」 魔法使い「ちょっと、聞くだけよ」 魔王「とりあえずは、半年毎に10日。あとは勤務年数によって随時増えていく」 勇者「俺たちは勇者だ!勇者とは仕事ではない、勇者とは心のありよう!」 勇者「そもそも俺たちは王国から雇われているわけではない!ただ世界平和のために貴様を打倒さんとするのだ!」 3 : ◆CItYBDS.l2 2017/09/22(金) 17:40:48.60 ID:01+6FuFio 勇者「そんな俺たちを、そのようなもので籠絡しようとは笑止千万!語るに落ちたな魔王よ!」 魔王「ん・・・儂の持っている情報とは違うな」 側近「変ですね・・・」 側近「勇者殿は、王国に雇われているわけでないと申されましたね?つまり給与も、もらっていないと?」 勇者「もちろんだ!俺は傭兵ではない!」 側近「他の皆さんも同じですか?」 戦士「ああ、そうだ」 魔法使い「ええ」 僧侶「あ、わたしは教会に所属しているので、そっちで貰えてるはずです」 魔法使い「え?そうだったの?」 僧侶「ええ、ただ旅の間は受け取りにいけないですから、銀行の預かり口座に入金されているはずです」 魔王「ならば、この魔王城まで如何にしてやってきたのだ?路銀は、どうしたのだ?」 4 : ◆CItYBDS.l2 2017/09/22(金) 17:41:20.23 ID:01+6FuFio 勇者「そんなもの魔物を狩って稼ぎながら来たに決まっているだろう!」 戦士「まあ、飯はそのへんの食える草を食ったりしてたし、宿もとらずに野営ばっかりしてたしな」 魔王「な、なんと・・・・痛ましい」 魔法使い「時には村を襲った魔物を倒し、お礼としてお金をもらったこともあったわね」 魔法使い「あの時は、久々のベッドに思わず感涙しちゃったわよね」 僧侶「そ、そうでした、あの時の村は魔王の放った魔物に恐怖していました!」 僧侶「みなさん、私たちはまんまと口車に乗せられています!私たちがするべきことは、魔王と語らうことではありません!」 魔王「まあ待て、まあ待て。魔物と言っても、全てが儂の指示で動いているわけではない」 勇者「責任逃れをする気か!?」 側近「事実です。だいたい言語を解する魔族は少数ですからね、私たちが従えているのは、ほんのわずかです」 側近「意思疎通ができない魔物は、獣といっしょですよ。そこまで責任を追及される謂れはありません」 戦士「そうだったのか・・・」 続きを読む