日本では非常に多く行われている堕胎手術ですが、多くの外国では犯罪とされています。一体なぜ日本だけこれだけ許容されているのか? ヒントは宗教にあるようです。 オススメ記事 【9月27日 AFP】アイルランド政府は26日、ほぼ全てのケースで人工妊娠中絶を禁止している憲法の規定について、廃止の是非を問う国民投票を来年5月か6月に実施すると発表した。同国では来年8月にローマ法王フランシスコ(Pope Francis)の訪問が予定されている。 政府はこのほか、冒瀆(ぼうとく)を禁じた法の撤廃や、カップルが離婚前に離れて過ごさなければならない期間の短縮に関しても投票を計画している。 アイルランド憲法の修正第8条では中絶について、母体の生命に重大な危険がある場合を除き違法としている。同条についてレオ・バラッカー(Leo Varadkar)首相は「(例外規定が)限定的すぎる」との見解を明らかにしていた。 国民投票の実施には議会の同意が必要となる。来年8月には「世界家族会議(World Meeting of Families)」に出席するため、法王が同国を訪れる予定。 中絶はアイルランドでかねて違法とされていたものの、1983年に国民投票の結果を受けて憲法に書き込まれていた。この投票では67%が賛成、33%が反対だった。(c)AFP/Julien LAGACHE via: アイルランド、中絶禁止の是非問う国民投票実施へ 来年5月にも 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News アイルランドと宗教 アイルランドは国家としては宗教的に中立ですが、実際国民の8割以上はカトリックを信仰しています。そして知っている人は知っている。カトリックといえば極端に中絶や堕胎手術を嫌う宗教です。 カトリックは、離婚にもかなり否定的。一度神の運命の元つがいとなった夫婦は、切り離されることがあってはならない。また、その身に宿した子どもも神の御業であり、それを人間の判断で堕胎するなどあってはならないことなのです。 こういういわゆる「倫理観」というのは、昔から宗教が生み出し維持してきたものですから、こういう宗派が強い国ほど中絶や離婚(ちなみに自殺も神が作った命を勝手に捨てる行為なので大問題。地獄行きです)といった行為が許されないものとして扱われてきたのです。 宗教以外の倫理観 しかし、今の時代倫理観を宗教にのみ依存している人はほとんどいないでしょう。なぜなら、近代世界では人権という新しい概念を導入することに成功したからです。神がどうということとは関係なく、私達は自分の体や心についての自己決定権を持ち、また互いにそれを尊重しなくてはなりません。 そうすると当然中絶問題というのも、神のことを一旦おいてみると大事なのは「誰が意思決定を持つか」という話になります。中絶するとなると当然主体となるのは母親です。正確に言うと、母親というかその体の意思決定に最大限の主権が認められる女性です。 ですから、女性が意思決定をして中絶するとなると誰もその決定に逆らうことなど出来ません。神がなんと言おうと、彼女の体は彼女のものなのです。 もちろん、これに権利の意味から反対する意見もあります。それは赤ちゃんの権利を主張する形で行われます。赤ちゃんだって生きているわけで、その生命は尊重されるべきだしその権利を持っているというわけです。 これについては意見が幾つか分かれ「受精卵は意思決定が不能なので権利を持たない」としたり「3ヶ月以上経ったら生きてるとみなし、中絶は出来ない」としたりしますが、こんなのグレーゾーンで線引に本来的な意味などないでしょう。 とにもかくにも、アイルランドが神の国家から人の国家へと移る重要な契機になりそうなので中絶手術が早く容認されるようになって欲しいものです。