転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1510681160/ 1 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2017/11/15(水) 02:39:20.74 ID:Vv90Lwpi0 これはモバマスssです 2 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2017/11/15(水) 02:40:25.13 ID:Vv90Lwpi0 女心と秋の空。 俺は今、その言葉の意味を痛い程痛感していた。 天高く青に晴れた十一月のとある日の、コートを着ていると少し暑いくらいのおやつの時刻頃。 オフの重なった担当アイドルであり恋人の三船美優と共に、二人並んで自然公園を歩いていた時の事。 さっきまで笑顔だった筈の美優さんの表情が一瞬にして沈み、なかなか浮上しないのだった。 他愛の無い会話どころか、個人的には褒め言葉だったつもりなのに。 自意識過剰でなければ、美優さんが良い反応を返してくれる筈だったのだが。 と言うことはつまり、俺の言葉が褒め言葉になっていなかったのか。 それとも彼女にとっては期待していたものと違ったのか。 久し振りのデートだった為、美優さんはかなりお洒落をしてきてくれた。 いや勿論、普段からお洒落な格好をしているとは思っているが、今日は一段と。 それに対してそれとなく意見を求められた俺が「良いですね、今のままで写真集の一ページに出来そうですよ」と割と悪く無い褒め方をしたと思っていたのだが。 そのまま美優さんは機嫌をマイナスに寄せ、表情を曇らせた。 何が悪かったのか分からない俺は訂正だったり別の方向からフォローを入れようとしたのだが、尽く不発に終わっている。 時折顔を輝かせるが、それもつかの間気付けば沈む。 多分俺に何かしらの非があることは分かっているが、幾ら何でも振り子運動をしすぎじゃないだろうか。 果たしてこの場合、直接尋ねていいのかどうか。 3 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします 2017/11/15(水) 02:41:12.64 ID:Vv90Lwpi0 「えっと、美優さん……その、すみません」 「……何が悪いのか、分かって謝ってますか……?」 言葉に詰まる。 もう少しこう、手心というかヒント的なものを出して欲しいと思わなくもない。 だが確かに、理由も分からず謝るだけで済ませようとしたのはよろしくなかった。 より一層影を強くする美優さんの表情を見て、俺もまた更に申し訳なくなった。 それでも。 繋いだ手を離そうとはしない。 きっと、当てて欲しいのだろう。 きちんと理由を理解した上での謝罪をすべきなのだろう。 多分もう引っ込みがつかなくなって今に至ってるんだろう。 美優さんの為にも、俺は答えを探す。 「……取り敢えず、何か食べませんか?向こうに丁度クレープの屋台が出てますし」 「……食べ物で釣れるなんて……私、そういう人に見えてたんですね……」 またヘマを踏んだ。 いやでも一回切り替えるのに丁度良いと思ったのだが。 ダメだったのだろうか、甘いもの作戦。 うん、大人の女性に対して取る手段では無かったかもしれない。 ……いや、案外いけるかもしれない。 店に近づくと、クレープの香りが流れてきた。 少し熱気を持った甘い香り。 それは当然美優さんの元へも届いており、彼女の食欲を擽る。 クレープを片手にすれ違うカップルの手元を見ている姿は、少し微笑ましい。 「……俺、一緒にクレープ食べたいです。ダメですか?」 「……仕方ありません……貴方が、そこまで誘うのなら……」 続きを読む