転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1508003591/ 1: ◆HN95RCKor6 2017/10/15(日) 02:53:12.24 ID:5PtljOq40 地の文形式 P視点 短編 一ノ瀬志希について独自設定・独自解釈あり 2: ◆HN95RCKor6 2017/10/15(日) 02:53:57.29 ID:5PtljOq40 志希が数日事務所に姿を表さなくなるのはよくあることだ。 それは軽く失踪しているのだったり、香水作りで篭っているのだったりする。 せめて連絡はしてほしいと常々言ってはいるが、どこ吹く風だ。 結局、アイドル生活に致命的なことはしないだろうという信頼(あるいは願望)のもとに黙認している。 とはいっても、こちらからの連絡に何の返事もよこさない状態が3日も続いたら、こうやって志希の元へ向かうことにしている。 3: ◆HN95RCKor6 2017/10/15(日) 02:58:17.35 ID:5PtljOq40 「死なれていても困るからな…」 そんな呟きを漏らすと、枯れ葉が顔に降ってきた。たしなめられているようで思わず苦笑いする。 志希の今の住まいは、事務所から30分ほど歩いたところにある。 彼女が日本に帰ってきたときに買い付けたという、築35年の中古住宅。 本来ならリフォームが必要なくらいだが、どうせ長く住む気もないからと雨漏りすら放置されている。 そしてもっぱらガレージでアヤシイ科学実験にいそしんでいるというわけだ。 4: ◆HN95RCKor6 2017/10/15(日) 03:02:57.80 ID:5PtljOq40 志希は今何をやっているのだろうか。そう考えながら歩いていると志希の家のある通りまで来ていた。 金木犀の甘い香りが漂っている。あたりを見渡してみたがそれらしき木は見当たらなかった。 まあどこかにあるのだろう。そう思って、志希の家まで歩く。そうすると次第にその匂いが強くなっていった。 志希の家には一応庭があった。しかし樹木が植わっていただろうか? あったとしても花をつけていない金木犀を見分けることは出来なかっただろうが。 そうして志希の家の前まで来ると、まるで金木犀の木を目の前にしているかのように強い香りになっていた。 続きを読む