1日に2回も3回も喫煙所に行き、1回10分以上も業務から離れる。そんな喫煙者の特権についての不満が溜まるのは、非喫煙者からしたら当然でした。そんな中、素晴らしい制度が出来たみたいです。 オススメ記事 ■“スモ休”で公平に たばこへの不満を解消しようと、都内の企業が今月から始めた制度がある。たばこを吸わない人に有給休暇を与えるという“スモ休”だ。担当者によると、たばこを吸わない人に対して、最大年間6日の有給を付与するという。 この制度ができたきっかけは、喫煙者がたばこを吸うために席を離れることを、不満に思う人がいたためだという。 実際にオフィスでの仕事風景を見てみると、喫煙所へたばこ休憩に行く男性の姿があった。男性が席を外していた時間は9分42秒。会社がビルの29階にあり、たばこを吸うには、喫煙所がある地下1階までおりる必要がある。 1日に2~3回はたばこ休憩に行くという男性に、“スモ休”についてどう思っているのかたずねた。 「たばこ休憩の時にあるコミュニケーションとかもあるので、喫煙者に規制をするのではなくて、非喫煙者にメリットを与える制度は、良い制度なんじゃないかなとは思います」 会社全体でも、制度はおおむね好意的に受け止められていた。 街では、たばこについてこんな声が聞かれた。 「煙のにおいとか、そういうのが嫌ですね」 「歩きたばこをされてる方なんかは、子どもの目線にたばこがゆらゆらしたりするので、うわ、危ないなって」 女性を中心に、たばこの火やにおいを嫌う人が多くいた。 via: “加熱式たばこ” 吸わない人はどう思う?|日テレNEWS24 煙草休憩という特権 「ちょっと煙草吸ってくるわ」そんな言い訳にもならない言い訳で、業務時間において席を立って自らの趣味を謳歌することが出来る。それが煙草休憩です。1日に2-3回ならいいもので、1時間に1度は席を立つような人もいます。一度に10分は席を立つとすると、なんと1日1時間近くは煙草休憩をしているというわけです 煙草は嗜好品であり、個人の趣味です。もちろんその趣味を行う自由を人は持っています。但し、人を傷つけるような趣味であれば問題です(よって副流煙の問題があり、禁煙・分煙と言われるわけです)。ちゃんと喫煙室で吸うのであれば誰を傷つけることもない、いわゆる一つの趣味でしかありません。 しかしたった一つだけ問題があります。それは、多くの人は仕事中に1時間も趣味に時間を使わないということです。仕事中にトランプが趣味の人はトランプをしませんし、スマホゲームが大好きな人も堂々と「ちょっとスマホゲームしてきます」と仕事中に発言することはまずありえないでしょう。 しかし、煙草休憩だけは許される。もちろん全員が喫煙者であればそれも良いのかもしれませんが、最近は喫煙者の割合も下がり続けており、非喫煙者からしたら非常に納得にいかない制度だったわけです。なぜか今までokだったから、という理由だけで許容されている慣習というわけですね。 非喫煙者向け有給制度という素晴らしい発明 そのような特権に対して作られた制度というのがこの「スモ休」とのこと。非喫煙者は年に6日の有給を取ることが出来るようになったというのです。これには素晴らしいポイントが幾つもありますよね。 煙草休憩を無くさなかったこと。これは喫煙者にとってはかなり苦しい結論ですし、なによりニコチン中毒者からしたらほとんど地獄のような決定です。喫煙者を責めない制度設計にしたというのは非常に賢いやり方だと思います。 続いて、非喫煙者に対して「お金をもらいながら休める時間」を作ったことにも意味があると思います。単に給与を上げるということではなく、喫煙者達が持っていた特権「煙草を吸ってるだけで給料がもらえる」というものを擬似的に再現した形になり、非喫煙者も納得の制度でしょう。 導入を決めた会社ではかなり好評なようで、中にはこれを機に喫煙を辞めるという社員も現れたようです。実際、喫煙者が多いということは一番戦力になる40-50代に病気になって倒れるリスクが減るということでもあり、企業にとってもポジティブな効果を生んでいるようです。 慣習にとらわれない大切さ 私達はよく未開の民族とレッテルを貼り、古い文化をもった人達を野蛮であると馬鹿にします。しかし、そのような視線を自分たちの社会に向けてみると沢山の不思議な制度や仕組みがあります。満員電車なんかも典型的な「外から見たら異様な光景」なわけですが、そこに生きている私達は中々それを認識することが出来ない。 認識するのが難しい上に、それを改善するとなると更に難しいわけですが、そんな中このスモ休制度を採用した企業は素晴らしい行動力だと思います。こういう制度がもっと広まると良いですね。