転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1508326525/ 1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/18(水) 20:35:26.16 ID:i2SVOmg30 カチッ カチッ 時計の針が進む。 手の中のスマートフォンとの睨めっこは続く。 仕事で連絡を取るのに必要だからと、「彼」に持たされたピンク色のそれを、まだ使いこなせてはいない。 あまり機械は得意ではなかったが、今日はずっと手放せないでいた。 2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/18(水) 20:37:37.31 ID:i2SVOmg30 カチッ カチッ 時刻はまもなく0時を回るところ。 普段、こんな時間まで起きていることはない。 あったとしても、半分意識は夢の中、というのがほとんどだった。 だけど、今日は別。 眠くなるどころか、目は冴えていく一方だった。 理由は、画面に映る「彼」の連絡先。 かれこれ数時間、このタイミングで電話をかけるべきかどうか、ずっと悩んでいた。 「彼」が、この時間でも起きていることは知っていた。 最近めっぽう忙しく、今日も事務所に泊まり込むのだと聞いていたから。 でも、こんな時間にかけるのは、やっぱり非常識ではないか。 教養のない女だと思われたらどうしよう。 そんな迷いが、発信ボタンを押せずにいた。 3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/18(水) 20:39:00.48 ID:i2SVOmg30 カチッカチッ 悩んでいる間にも、時計の針は進んでいく。 もうすぐ、日付が変わる。 「―――うん」 目を閉じて、ひとつ大きく深呼吸。 覚悟を決めよう。 ここで怖気づいては小早川の名折れだ。 いざ。 時計の秒針が頂点を指すのに合わせて、発信ボタンを押そうと――― 続きを読む