転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssr/1507496695/ 1 : ◆Xz5sQ/W/66 2017/10/09(月) 06:04:55.42 ID:zECgd23d0 === お仕事先で泊まったホテル。 私の部屋にやって来た彼は、 こちらと顔を合わせるなり上機嫌の笑顔で言いました。 「老人会主催、ふれあい将棋大会司会お疲れさん!」 「うふふ~。お疲れさまですプロデューサーさん。今日のお仕事は、とっても楽しかったですよ~」 「だろうな。終始笑いも絶えなかったし、美也の人気も凄いのなんの」 「そんな、照れてしまいます~」 「いやいやホント、老人会のマドンナだよ。あの頑固ジジイ共の集まりが、美也の前じゃ子供みたいに素直だもん」 そうして、プロデューサーさんは椅子に座っていた私のことを良い子良い子。 この歳で頭を撫でられるのはちょっと恥ずかしいですけど。 彼の手つきは優しくて、心の底から褒めてもらってるのが分かるから……心がポカポカしちゃうんです。 流石は出色の撫でニスト。茜ちゃんが虜になるのもわかります。 2 : ◆Xz5sQ/W/66 2017/10/09(月) 06:07:05.56 ID:zECgd23d0 「ふぅ……」 あまりの撫でられ心地の良さに、思わずため息もでちゃいます。 すると彼は改めて確認するように。 「よしよしよし。……にしても、美也の髪はふわふわだなぁ」 「そうですか~? どのくらいふわふわなんでしょう~?」 「どのくらいかぁ……。取り込みたての洗濯物、いや、日光浴をしてる猫」 「なんと、それほどですか~」 「なんとそれほどなのだ。整髪料のCMとか、取って来たりできるかもな」 おしまいだよと言う代わりに、私の頭をポンと一押し。 離れて行ってしまうその手が、名残惜しくなるほど安らぎに包まれた数十秒。 「むー……プロデューサーさん?」 そんな気持ちになったから。 つい、私は物欲しそうな顔で彼を見上げてしまったのです。 ……まだ、足りない。褒められ足りない、甘えたい。 自分でも驚いちゃうくらい、この時の私は欲張りさん。 それはきっと、この場に二人きりだったから……。 4 : ◆Xz5sQ/W/66 2017/10/09(月) 06:13:16.76 ID:zECgd23d0 「……全く、しょうがない奴め」 幸い、彼の方もまだ褒め足りなかったようでした。 困ったように頭を掻いていましたが、その顔はぜんぜん困っているようには見えません。 むしろ、私がおねだりしたことに機嫌を良くしたようにも見え……。 むー、なんだか、まんまとはめられた気がしちゃいますね。 「美也、今日はホントによく頑張ったな」 そっと手を、左の頬に添えられて。 近づいて来た彼の口が、優しく私のおでこに触れる。 「偉い偉い♪」 言って、頬から頭に移動した手がくりくりと髪を撫でますけど。 「むぅ……。プロデューサーさん?」 「ん~?」 「分かっててじらしているんですか? そういうの、意地悪さんって言うんですよ~」 私が本当に欲しかったのは……もっとドキドキする方の。 続きを読む