転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1507566517/ 1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/10(火) 01:28:38.10 ID:h3AcEulr0 久し振りにSSを書いたので初投稿です。 2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/10(火) 01:29:44.66 ID:h3AcEulr0 杏「おっつー……あれ、プロデューサーしかいないじゃん。きらりは?」 P「ハズレみたいな扱いをするな。見てないぞ。まだ学校じゃないのか?」 杏「そっか。まぁ待ってればその内来るかな。邪魔するよ」 ひょこひょこ歩いて来客用のソファに腰を下ろす双葉杏に、プロデューサーは目を剥いた。 その行動にではない。彼女の傍若無人さからすれば、この程度のことは日常茶飯事の朝飯前である。 プロデューサーが驚いたのはその出で立ちにだった。普段のスタイルとは全く異なったフォーマルな服装。 いわゆる学生服、それもブレザーを着用しているのは初めてのことだった。 3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/10(火) 01:31:11.68 ID:h3AcEulr0 P「その服……制服だろ? お前んとこって私服じゃなかったっけ?」 杏「ぶぶー。標準服でーす。とまぁ揚げ足取りはさておき……私服OKだけど、それとは別に制服もどきみたいなのがあるんだよ。今日は終業式だったからさ。節目の行事くらいは、ってね」 P「ふーん……はー……へぇー……」 杏「何その生返事……人の話ちゃんと聞いてる?」 P「聞いてる聞いてる。でも珍しいなって思ってさ。初めて見た」 杏「そうだっけ? まぁ言われてみたら式典の時って大体家に帰ってるな……なんかこう、肩が凝るんだよね」 P「フォーマルな服ってのは得てしてそういうもんだろ。しっかし……こうして見るとお前、高校生だったんだなぁ」 杏「こうして見なくても高校生だよ……なんだと思ってたの」 P「うーん……座敷童?」 杏「……プロデューサーの方がさ、杏のことひどい扱いしてることあるよね。まぁいいけど。高校生だから何?」 P「いや、ちょうど学園ドラマの役の募集が掛かっててさ。誰にしようかなーなんて思ってたんだけど……杏、やってみないか?」 杏「えー。仕事の話ー?」 P「そう言うなよ。当たれば大きいぞ? オーディション用の台本もあるし、目を通すくらいしてみろよ」 杏「気乗りしないなぁ……もっと適役がいるでしょ。杏に振ってどーすんのさ」 4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/10(火) 01:32:01.40 ID:h3AcEulr0 口ではそう言いつつも、プロデューサーに促されるがままに台本を手に取る杏。 パラパラとページをめくる。内容はおおよそオーソドックスな淡い恋物語のようだった。 学期末、転任する教師を呼び止める女生徒。いつまでも打ち明けられなかった思いを、勇気を出して口にする。 その気持ちは嬉しいと、しかし首を横に振る。教師と生徒という立場は、思いを受け入れるにはあまりにも高い障害だった。 そうでなくとも、明日にはここを発つ。離れた場所で想い合うより、身の丈に合った相手を探す方がいい。 そんな現実的な提案に、女生徒は目に涙をいっぱいに溜めて背を向けた。 駆け出す背中に思わず手を伸ばしたが、男の手は悲しいほどに短く星屑には届かない。 行き場を失くした手を固く握り、壁に拳を叩きつける。ただ空虚な音だけが廊下に響いていた。 続きを読む