転載元 : https://hibari.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1318595117/ 1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/14(金) 21:25:17.76 ID:Hduuknjz0 「悪いね、お嬢様」 「あんたには何の恨みもないんだけどさ」 「死んでもらうわ」 そう言って路地裏に連れ込んだ女──志筑仁美に槍を向ける。 腰を抜かしながらもまだどこか殺されることに現実味を感じていなかったのか、泣きも叫びもしなかった女が槍の先端の輝きに漸く自分が本当に殺されるのだということを認識し、絶叫しだす。 「嫌あああああああああぁぁぁぁぁぁっぁ!!!!!」 「嫌ぁっ!!!来ないで!!!!やめてぇぇぇっ!!!!!!」 普段は優雅なお嬢様らしいがとてもお嬢様だとは思えない甲高い声と芋虫のように無様に地面を這いつくばって逃げようとするその姿。 あいつが見たら喜ぶだろうか。笑うだろうか。それとも失望するんだろうか。 「おい、うるせーぞ」 手で口を覆い頬と顎の肉の先にある骨を軋ませるほど強い力で顔を掴み黙らせる。 「このまま頬と顎の骨を砕いてやろうか?」 意識的にニヤけさせた口元で問う。 その問いに目を見開き必死に首を横に振ろうとするがあたしの手がそれを許さない。涙と鼻水と涎が手に生暖かく伝ってきて酷く不快だ。 2 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/14(金) 21:26:22.73 ID:Hduuknjz0 「──…!─っ……!───!」 「あ?」 何かを伝えようとしてる女の口元に耳を傾けると「ごめんなさい」「許してください」「何でもします」「殺さないで」そんな言葉が届く。 涙を溢れさせ、鼻水を流し、涎まで垂らしながら怯えて命を乞うその姿はどこにでもいる無力な少女でしかなかった。 「……………」 馬鹿馬鹿しい。この女に殺すほどの価値があるのか。あいつが怯えるほどのモノなのか。 急激に頭の熱が冷えていく。 「あんた…何でもするって言ったか?」 その言葉にすぐさま反応し、動かせない首で必死にイエスを伝えようとする。 「じゃあとりあえず…」 ぱっと手を離し、 「しばらく寝てなっ!」 槍の柄で頭部を打撃。 ようやく手から開放されたというのに、一息吐く間もなくお嬢様は意識を失った。 3 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/14(金) 21:30:22.23 ID:Hduuknjz0 「ホテルに運ぶか」 米俵を担ぐようにしてお嬢様を持つ。 ………軽かった。 何の負担にもならない軽さだった。 これを持って歩けもするし走れもする。下手したら空でも飛べそうな軽さだった。 それでも、あいつが持つと違うのだろう。これを持っては笑えもしないほどこの荷物を重く、負担に感じるのだろう。 タンッと軽々地面を蹴り、なるべく人目に付かないように屋根から屋根へとホテルを目指す。 (こんな姿じゃ堂々とロビーは通れないね) 槍を持ち、気絶している女の子を担いでる自分はどこからどう見ても不審者どころか犯罪者だったので正門を通り抜け窓からホテル内の自らが借りてる部屋へ侵入した。 (高い割にセキュリティシステムに欠けるホテルだな) 馬鹿でかい高級ベットに持っていた荷物を投げ捨てる。しばらく気絶したままであろう荷物は放って魔法少女の変身を解き、昼間買って置いた食糧を口にする。 6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/10/14(金) 21:35:38.83 ID:Hduuknjz0 テリヤキバーガーのあまじょっぱいソースとまろやかな酸味のマヨネーズ、ジューシーさには欠ける肉と新鮮さに欠けるレタスをなにかに当てる付けるように口いっぱいに頬張る。品のない咀嚼音の豪快さが心地いい。 「げふっ」 同じ要領でサンドウィッチ、おにぎり、フライドキチン、たこやきを腹が満ちるまで詰め込み漸くほっと一息ついた。 (さーて…どうするかね) そもそもこの女を殺そうと決めたときのことを思い浮かべる。 ……… …… … 「見てるだけか?」 あたしが声をかけた相手はまるで殺人でも犯しているところを見られたかのような顔で振り向いた。 そいつの視線の先には愛する坊やと友達……いや、こいつにとってはもう《元》友達であろう女が仲睦まじげに話していた。 息を潜めそんな二人を覗いてる姿はこいつにとってはある意味殺人現場を目撃されるよりも見られたくなかった姿かもしれない。 特に、あたしには。 続きを読む