転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1505924136/ 1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/21(木) 01:15:37.26 ID:Eju+AkfL0 【川尻宅】 吉良「メリーさん? どちらさまですか?」 『今、亀友マーケットの屋上にいるの』 吉良「亀友……だと? 誰だね、君は?」 プツゥ~―― 吉良「……切れたか」 「もぉう! 『行ってきます』くらい言ったらどうなのッ! 可愛くない子ね」バタンッ しのぶ「あら、あなた。どうしたの?」 吉良「ああ、ただのいたずら電話みたいだ。まったく、朝っぱらから暇な輩もいるものだね」 しのぶ「え。ああ……そう。ほんと、迷惑よねぇ」 吉良「それじゃ、そろそろ出ないと会社に遅刻するから。行ってくる」 しのぶ「行ってらっしゃい、あなた」 バタンッ しのぶ(いたずら電話?) しのぶ(電話なんてあったかしら。ベルの音なんて聞こえなかったのだけど) 2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/21(木) 01:16:17.82 ID:Eju+AkfL0 【路上】 吉良(さきほどの電話、ただのいたずら電話だとは思うが) 吉良(気になる点がある) 吉良(『メリーさん』と名乗った女は『亀友マーケットの屋上にいる』と確かに言った) 吉良(亀友は私が『川尻浩作』に成り変わる前に、『吉良吉彰』として勤めていた会社だ) 吉良(私の正体を知っている何者かが、あえて『亀友』という言葉を口に出して、私の反応を窺った) 吉良(そういう可能性があるのではないか) 吉良(……いや、さすがに考えすぎか) 吉良「おっと、もうこんな時間か。本当に会社に遅刻するわけにはいかない」 吉良(川尻浩作のやつ、出世するために勤務態度は真面目だったらしいからな) 吉良(しばらく様子を見るか。また家にあの女から電話がかかってきたら、今度は捨て置けないがな) 3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/21(木) 01:16:57.47 ID:Eju+AkfL0 【会社】 上司「川尻、手が空いたらこの書類を片付けておいてくれ。頼むよ」 吉良「承知しました」 プルルルルルッ プルルルルッ 吉良(電話だ。さきほど取引先の担当者が不在だったから、その折り返しか) 吉良「はい、OO社△△部□□係の川尻です」 『私、メリーさん』 吉良「!!」 『今あなたの家の前にいるの』 吉良「お前ッ! 何者だッ」 プツゥ~―― 吉良(また切れたか) 吉良(同じ声だ。抑揚のない、単調な言葉。それでいて妙に耳に残るうすら寒い女の声) 吉良(やつは川尻の家の電話番号も会社の番号も知っている) 吉良(私のことを調べているッ!) 吉良(どこまで知っているんだ? 『メリー』とかいう女は私のことを) 吉良(仮に私の正体を……知っているとするならば) 上司「お、おい。どうした川尻! 急に大声を出しおって、クレーム電話か? それにしたって顧客に向かって『お前』とは――」 吉良「すみません。今日は朝から体調が優れませんで――今日のところは早退させてもらいます」ガタッ 上司「何だって?」 吉良「勝手な理由で仕事に穴をあけてしまい……たいへん心苦しいのですが……。この埋め合わせは必ずいたしますので。本当に……まことに申し訳ありません。失礼いたします」 スタスタ 上司「お、おいおい……」 部下「どうしたんです、川尻さん? もう外回りですか」 上司「いや、電話口で急に大声を上げたかと思ったら、体調不良で早退したいと。クレーム電話でもかかってきたのか?」 部下「電話ァ? 鳴ってたかなあ?」 続きを読む