転載元 : http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1503004812/ 1 : ◆TOYOUsnVr. 2017/08/18(金) 06:20:12.59 ID:x60B3tho0 「海、行きたいなぁ」 なんとなく、ただの暇つぶしのつもりでテレビで流れるビーチの特集を眺めていたら、そんな言葉が無意識で口をついて出てしまった。 「海、海かー」 後ろを振り返るとプロデューサーがいた。 どうやらひとり言を聞かれていたらしい。 「聞いてたんだ」 「ごめん。偶然」 「別に、謝ることでもないでしょ?」 「いや、そっちもだけど、あんまり暇を作ってあげられなくて悪いなぁ、と思って。いつかみたく北条さんや神谷さんと遊びに行けるよう に調整してあげられたらよかったんだけど」 「それこそプロデューサーが謝ることじゃないよ」 「せっかくの夏休みなのに、申し訳ない」 「もう、別に私は不満とかないってば。それに、まだ夏は終わってないよ?」 「ん? どういうこと?」 「連れてってよ、海」 「……二人で?」 「うん」 「凛は俺とでいいの?」 「プロデューサーとがいいから言ってるんだけど」 「あー……」 「返事は?」 「行こうか。海」 私とプロデューサーのオフが合う日に約束をして、海に行くことになった。 2 : ◆TOYOUsnVr. 2017/08/18(金) 06:20:52.61 ID:x60B3tho0 ◆ その約束の日、店番をしながらプロデューサーが迎えに来るのを待つ。 プロデューサーは約束の時間より少しだけ早くやってきた。 「おまたせ。お店番中?」 「んーん。大丈夫、とりあえず行ってきます言ってくるから、車で待っててよ」 「なら、俺もご両親に挨拶とか……」 「そういうの、いいから。ホントに」 「いや、一応菓子折りも持ってきたし」 「お母さんもプロデューサーとなら嫌な顔しないと思うから」 店先でうじうじと問答を繰り返していると、カウンターに頬杖をついてその様相をにこにこしながら眺めている母がいた。 それに気付いたプロデューサーは、菓子折りを持って母のところに歩いて行って、ぺこぺこしながら何やら話しているようだ。 話し終わって、プロデューサーが戻ってきたので「何話してたの」と小声で聞くと「あとで話すよ」と返されて、プロデューサーは「車で 待ってるから」と行ってしまう。 交代で母が私の荷物を持って、店先まで出てきて「ほら、行ってらっしゃい」と背中を押される。 「プロデューサーに変なこと言ってない?」 「さぁ、どうかしら」 「ねぇ、ホントに何にも言ってないよね?」 「プロデューサーさん待ってるんでしょう? 早く行ってらっしゃい」 「……まぁいいか。うん、行ってきます」 「デート、楽しんでらっしゃい」 「もう!」 続きを読む