19: 01/10/29 23:03 ID:ux8By2pL 名前:名無し三等兵 投稿日:2001/03/12(月) 14:46 『佐久間艇長遺言』(昨日海軍省より発表) 小官の不注意により陛下の艇を沈め部下を殺す,誠に申し訳なし。 されど艇員一同死に至るまで皆よくその職を守り沈着にことを処せり。 我等は国家のため職に斃れしと雖も唯々遺憾とする所は天下の士 はこれを誤り以って将来潜水艇の発展に打撃を与ふるに至らざるや を憂ふるにあり。希くば諸君ますます勉励以ってこの誤解なく将来潜 水艇の発展研究に全力を尽くされんことを。さすれば我れ等一も遺 憾とするところなし。 沈没の原因 瓦素林潜航の際過度深入せしため「スルイスバルブ」をしめんとせ しも途中「チェン」きれ依って手にて之れをしめたるも後れ後部に満水 せり。約二十五度の傾斜にて沈降せり。 沈据後の状況 一,傾斜約仰角十三度位 一,配電盤つかりたるため電灯消え,電纜燃え悪瓦斯を発生呼吸に 困難を感ぜり。十五日午前十時沈没す。この悪瓦斯の下に手動 ポンプにて排水に力む。 一,沈下と共に「メンタンク」を排水せり,灯消えゲージ見えざれども 「メンタンク」は排水し終われるものと認む。電流は全く使用する能 わず,電液は溢るも少々,海水は入らず「クロリン」ガス発生せず 唯々頼む所は手動ポンプあるのみ。 (后十一時四十五分司令塔の明りにて記す) 溢入の水に浸され乗員大部衣濕ふ。寒冷を感ず。 余は常に潜水艇員は沈置細心の注意を要すると共に大胆に行動せざ ればその発展を望む可からず,細心の余り萎縮せざらんことを戒めたり。 続きを読む