転載元 : http://nozomi.2ch.sc/test/read.cgi/lovelive/1497329044/ 5: 名無しで叶える物語 2017/06/13(火) 14:07:34.39 ID:JmEDgnKz.net 悪魔「んんっ…風が気持ちいい…」 地上に出る時は、湖畔の木陰が定位置になっている。 いつも通りそこの木に背中を預けていると、1人の天使が視界の隅に入る。 天使は私を見るなり驚いて、もう一本先の木陰に隠れてしまった。 当たり前のことに、天界や下界は悪魔を邪険に扱っている。 それが気に入らず少しだけムスッとしてしまって。 悪魔「何よ、悪魔は邪魔?」 返事はない。 6: 名無しで叶える物語 2017/06/13(火) 14:10:57.04 ID:JmEDgnKz.net 子どもの頃からそう育ってきたから、邪険に扱われることに対しての悲しみは特にないけれど、ため息は出てくるものだ。 悪魔「…でしょうね、私たちはあなた達から邪険に扱われてるもの」 天使「ち、違うよ…」 と身を隠したまま言葉を発する天使。 人見知りだから、怖いの と、か細く続けて。 嘘か誠か分からないけど、直球に嫌がられてないことを知る。 悪魔「人見知りって…」 悪魔「…(人を助ける天使のくせに。)」 …そう思うけれど、自分にも共通する部分がある。 悪魔は人の心を破壊するもの。 私はその概念に違和感を感じ、周りの友だちから距離を置いてたから友だちがいない。 所謂、独りぼっちだ。 だから、住む世界が違う正反対な天使なのにどこか共感してしまった。 悪魔「…そう」 おかしいでしょ とは結局言えずに心の中にしまって、流れるのは静寂。 先程の飴のように甘い雰囲気を纏った声の耳触りがよくて、それとなくポツポツと会話を引き出してみた。 お互い顔どころか姿も見合わずに話を進め、 天界の事情はどうなのかとか、早く帰らなくて大丈夫なのかとか。 ただそれだけを話した。 7: 名無しで叶える物語 2017/06/13(火) 14:15:00.96 ID:JmEDgnKz.net 天使「…優しい悪魔さんなんだね」 天使「また明日も来ていいですか?」 悪魔「好きにすれば」 と、ぶっきらぼうに返してしまう。 これはもう癖かもしれない。 翌日、いつも通り過ごしていると地面を踏み鳴らす音が聞こえて。 ああ、昨日の天使だろうなと特に警戒はしなかった。 悪魔「…本当に来たのね」 第一声をあげると 天使「だ、だめでしたかっ?」 なんて上ずった声で聞いてきた。 …ちょっと申し訳なくなるじゃない。 悪魔 「別に…」 と、これまたぶっきらぼうに返す。 天使「そっか…よかった…」 時間を共にするにつれ、少し打ち解けてきた。 それと同時に、あることが思い浮かんだ。 こっちだけ姿を明かして、向こうは隠れたまま…なんて卑怯じゃない? 続きを読む